クルマと人間の新たな関係を構築するボルボのコンパクトEV「EX30」
商品として魅力的か?★★★★★ 5.0(★5つが満点)
「EX30」の内装には、リサイクル素材や再生可能素材がたくさん使われている。シートに張られている革のような生地も、ペットボトルや松のオイルなどをリサイクルした「ノルディコ」という素材が用いられている。 アルミに見えるドアハンドルも再生されたアルミから造られ、ドアパネルやダッシュボードなども他の用途に用いられていた樹脂などをリサイクルされたものが使われている。 少し前のヨーロッパのクルマでもリサイクル素材が使われていたが、それらの多くはダッシュボードの裏側やボディ内部など、顧客が直接に眼にするところには使われていなかった。 品質が向上し、見た眼だけではリサクス素材と判別できなくなったこともあって、最近は常にドライバーの視界に入るところや直接手にするところなどにも使われるようになった。 そして、リサイクル素材だからといって、必ずしもコストが安いというわけでもないという声も聞く。それでも、最近のヨーロッパメーカーは積極的にリサイクル素材や再生可能素材を採用し、それを必ずアピールしてくる。5月にバルセロナで乗った新型「MINI COOPER」でも同じことが起きていた。 そのバルセロナとミュンヘンで泊まったそれぞれ別のホテルのバスルームに備え付けられていた歯ブラシとカミソリの柄が、ひとつは木製でもうひとつは再生プラスチック製だった。 たまたまのことだけれども、クルマだけではなく、歯ブラシとカミソリという日用品でもリサイクルが行われている実例に触れた。ヨーロッパでは資源を有効に活用することが広い範囲で行われ、その勢いが強いことを実感させられた。これはもう、ポーズや宣伝のためではない。大きな潮流に触れた思いがした。 「EX30」では、そうした世の中の新しい傾向が具体化されている。運転支援機能に関しても、ミニマルなドライバーインターフェイスと組み合わせることで、運転体験を更新しようとしている。ボルボ自身だけでなく、他の自動車メーカーでは今まで行われなかった画期的なことだ。 「EX30」は、デジタルネイティブや新しモノ好きたちの好奇心を大いに刺激している。表層のデザインだけでなく、運転中の人間とクルマの関係性をも刷新する新しさを備えているところに、ぜひ注目してみてほしい。 ■関連情報 https://www.volvocars.com/jp/cars/ex30-electric/ 文/金子浩久(モータージャーナリスト)
@DIME編集部