単品おせち市場は拡大も…若者の意識から見える正月の食卓の変化
多様なニーズに応える「日常食にもなりえる」おせち
さらに百貨店では、老舗の店によるおせちに加え、多様なニーズに応えるおせちのバリエーションを増やしている。東急百貨店では、食物アレルギー対応おせちや食塩不使用おせちなどがあり、食塩不使用に関しては出汁の使い方で味が損なわれないように工夫をしている。そのほか、国産素材のおせちやオードブルおせちなどさまざまな対応をしている。 高島屋では数人のパティシエの味を楽しめるスイーツおせちがある。好みではない食べ物は食べずに、食べたいものを必要な量だけ選んで食べるという日常の“習慣”が、正月料理のおせちにも求められているといえるだろう。 全体の傾向として、この10年間では和食の伝統的なおせちに代わり、和洋折衷おせちの売上げが人気で、さらに今年はおかずやつまみとしての役割のおせちが広がりを見せているようだ。より気軽に手に取りやすいおせちや、余っても困らない量、毎日食べても飽きない味付けのおせちを求める傾向が見られる。おせちは非日常の代名詞のような料理であるのだが、近年では、日常の食事のおかずやつまみとしても利用可能であることが、合理性のあるおせちとして求められているのだろう。(食の総合コンサルタント小倉朋子)
日本食糧新聞社