単品おせち市場は拡大も…若者の意識から見える正月の食卓の変化
習慣を売上げにつなぐ特異な料理
いっぽう、婦人画報の「おとりよせ顧客」の意識調査(「おせち・年末年始の過ごし方に関する意識調査2024」:ハースト婦人画報社)では、2024年におせちを購入する予定と答えた割合は8割を超えており、買う理由として「自宅では作れないような品目が味わえるから」「年末年始は家事を減らしてゆっくり過ごしたいから」が上位1、2位となっている。 調査相手が家庭を担う立場の人が多いと想定できることから、おせちを単に食べる立場の人なのか、作る立場の人なのかによって、おせちへの感覚は異なることがうかがえる。しかし、おせちというメニューが、「おいしい料理だから食べる」というものではなく、習慣にあるかどうかで選ばれていることは変わりない。 食べる“習慣”を持つ人が、その先に“作るか”“買うか”の選択をし、買う選択の先に、「ブランドで選ぶ」「価格」「和食か洋食などの種類で選ぶ」など選択基準が出てくるのだ。それゆえに、おせちはおいしいだけではなく、習慣化されていることが最も売上げを左右する要素なのだ。
おせちも単品購入の時代か
近年の傾向として、単品を買う割合も増加している。「買う・作る」両方を組み合わせる「ハイブリッド調達型」が主流である中で、購入場所については「スーパーマーケット」が約8割(「おせち料理」に関する調査:ロコガイド)で、1位となっており、単品をリーズナブルな価格で合理的に買う傾向が強くなっている現れだろう。 以前は「食べきれなかったおせちの活用術」といった特集が正月明けに定番となっていたが、コロナ禍あたりからめっきり減ったと思われる。これも物価高騰とあいまって、単品購入の割合が増えたためと想像できる。 そのような中、ローソンストア100では、2024年向け100円均一の単品おせちの価格改定を行い、「北海道産帆立貝」などの一部を150円に値上げした。しかし、イオンの単品おせちや、かねてから正月商材を多く発売する紀文の単品おせちなど商材はますます豊富になり、全体的に単品おせちの市場は今後も広がる可能性があるだろう。