ガスタービンエンジンの乗用車とかマジか! 軽量かつ高出力な「第三のエンジン」が模索された時代があった
自動車用内燃機関として忘れ去られた存在のガスタービンエンジン
現在、自動車の原動機として使われるのはエンジンだ。もう少し正確にいうと、化石燃料を使うガソリンエンジンとディーゼルエンジンで、エンジン内部で燃やした燃料の圧力(燃焼圧)を回転力に変え、タイヤを回す力(駆動力)として活用する機関だ。そして、エンジン内部で燃やした燃料が直接動力となることから内燃機関と呼ばれている。 【写真】トヨタもトライ! ヨタハチにもガスタービンエンジン搭載モデルがあった ちなみに、内燃機関に対して外燃機関という言葉がある。もっともわかりやすい例は蒸気機関車で、石炭の燃焼エネルギーで水を熱し、それによって得られる蒸気圧をシリンダーに導きピストンの往復運動に変え、それを動力として活用する例で、石炭の燃焼エネルギーが直接動力として使われるわけではない。なお、蒸気をシリンダーではなく羽根車(タービン)に吹きつけ回転力に変える蒸気機関を、蒸気タービンと呼んでいる。 さて、内燃機関だが、燃料を燃やした燃焼エネルギーでピストンを往復させ、それを回転力に変換するレシプロエンジン(スライダークランク方式)以外、ほかの方式はないのだろうか。たとえば、ロータリーエンジンはどう考えればよいのだろうか? ロータリーエンジンは、燃料の燃焼エネルギーが直接ピストン(ロータリーピストン=ローター)を回転させてエンジンシャフト(エキセントリックシャフト)を駆動。この回転力を駆動輪に伝えてクルマを進める方式だ。 レシプロエンジンはピストンの往復運動→クランクシャフトの回転運動と力の方向性が変換されることに対し、ロータリーエンジンはピストンの回転力がそのままエンジン軸をまわす構造のため、力の伝達に関して損失が小さく、効率に優れるといわれている。 では、このほかに乗り物の動力源として利用できる内燃機関はないのだろうか。じつは歴史的に効果的な方式として使われてきたメカニズムがある。ガスタービンだ。燃料の燃焼で得られた高温高圧のガスでタービンをまわし、その回転力を動力して使うシステムだ。その特徴は、機関の重量や体積に対して高出力を得られることから、重くなることを極端に嫌う航空機やヘリコプターの原動機して使われてきた。 もう少し詳しく見ていくと、タービンの回転力をそのまま軸出力として取り出す方式と、軸出力は圧縮機の動力のみに使用し、その次の過程で行われる燃焼作用、燃焼ガスを後方に噴出して推力とする(ジェットエンジン=ターボファン)方式に分けられる。 ちなみにガスタービンエンジンは、レシプロエンジンがひとつのシリンダー内で吸気、圧縮、燃焼、排気の各行程が繰り返されることに対し、圧縮、燃焼、膨張、排気がそれぞれ専用の区画で切れ間なく連続的に行われることが根本的な違いとなっている。