「出会ったのは合コンです」 弟の存在を隠してきた兄の結婚 障がい者の”きょうだい”に生まれて
障がい者のきょうだいを支える団体として、61年前に立ち上がった「全国きょうだいの会」。 当事者たちが打ち明ける悩みのひとつが”結婚”だ。 【写真で見る】アートビジネスを起業 公私ともにバディとなった兄弟 事務局長を務める太田信介さん(48)も、そのひとり。 学生時代、ひたすら障がいある弟の存在を周囲に隠してきた。 結婚できるのかな、と思い悩んでいたが、30代で結婚した。 出会いは、合コンだった。 ■障がいある弟の存在を隠していた兄 太田信介さん(48)には、重い自閉症と知的障がいがある弟の宏介さん(42)がいる。 現在宏介さんは画家として活動していて、兄である信介さんは、弟の作品を世に広めたいと脱サラ。 アートビジネスを起業した。 公私ともにバディとなった太田兄弟だが、学生時代は障がいのある弟の存在を友人にひた隠しにしていた。当然、交際してきた人にも、言わなかった。 太田信介さん 「弟のことを友人に説明をしたところで、どんな風に思われるのかが怖かったんです。お酒を飲みながらわいわいしているのに『実は弟が障がいがあってさ』と言った時に、チーンという様に静まり返ったりするんじゃないかなとか。付き合っている彼女に言った結果、弟が原因で振られたらどうしようか、とも考えていましたね。」 結婚については、最大の悩みだった、と話す。 太田信介さん 「きょうだいの悩みで最も大きいのは’結婚’だと思います。僕も小学校の時から『僕は結婚できるのかな?』と悩んでいましたね。結局、親が死んだときどうなるのかなっていうのを心配していたんです。’結婚’には必ず’親亡きあと’が絡んで来るからですね。」 ■知り合った恋人を弟の個展に連れて行った 弟と二人三脚でアートビジネスをてがけ、「きょうだいの会」でもリーダー的存在の、今の信介さんからは想像もできない。 そんな信介さんは、30代で、妻・淳子さん(46)と知り合い結婚した。 太田信介さん 「合コンです。しかも成婚率0.001%と言われるような’ねるとん’お形式のパーティーでした(笑)」 当時33歳だった信介さん。 なかなか結婚に希望が持てない中、ダメもとで参加したパーティーで生涯の伴侶を見つけた。 信介さんは33歳、淳子さんは31歳。 互いに結婚を意識する年齢だったことから、交際してすぐに弟に障がいがあることを伝えた。 不安はあったが覚悟を決めた。 「口ではうまく説明できない、直接会ってもらおう」と考えたそうだ。
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