「出会ったのは合コンです」 弟の存在を隠してきた兄の結婚 障がい者の”きょうだい”に生まれて
そして、淳子さんを弟の個展に連れて行った。 そこで、母・愛子さんからも、弟の障がいについて話をしてもらった。 ■妻は「邪魔者扱いしない家族をみて、安心して結婚決めた」 結婚後、淳子さんは信介さんに、「家族が宏介さんを邪魔者扱いにするのではなく、親もきょうだいも宏介さんを大切しているのが良くわかり、安心して結婚を決意した。」と話したそうだ。 弟の宏介さんも義姉になった淳子さんになついている。 自分の誕生日などには必ず電話をかけて、淳子さんから「こうちゃん、おめでとう」と言ってもらうのを楽しみにしている。 淳子さんも自分の友人を宏介さんの個展に招待するなど、良き応援団のひとりになった。 ■どの家庭にも悩みはあるもの 妻の両親は 淳子さんの両親は、結婚に反対しなかったのだろうか。 太田信介さん 「全くなかったです。というのも妻の弟は若い頃とてもやんちゃで親としてとても心配をしていたから、宏介の障がいのこともそれほど気にされなかったようです。若い時は経験がないため、物事を難しく考えがちです。僕も自分の家だけが不幸なんだと思い込んでいましたが、よくよく聞くとどの家庭でも大なり小なり心配ごとはあるものなんですよね。」 信介さんは結婚に悩むきょうだいたちに、こうアドバイスしている。 「結婚って価値観が合うことが一番大事です。うちなんか、たかだかスリッパの置き場一つで言い合いになるくらいですから。だからきょうだいが障がい者であることに対して理解がないような相手とは、例え結婚にいきついたとしても長くは続かないと思います。そんな相手はこっちから願い下げして、次の相手を見つけた方が幸せになれますよ。」 ■「すべてを背負うこと、考えないで。自分の家族を優先していい」 一人で抱え込むのではなく、なにより自分の人生を大事にしてほしい、と力を込めた。 太田信介さん 「自分が何もかも責任を持たないことが大事。自分が面倒見ないと!と思うとなかなか生きづらさだけが残っちゃうかなと思う。きょうだいの会では、たくさんの経験者から社会サービスの利用の仕方などもアドバイスしてもらえるので、悩みも軽減できるかなと思います。自分も弟の生活すべてを背負うことは考えていません。きょうだいたちも、自分の人生だから自分らしく生きてほしい、と思っています。どうしても自分が面倒をみたいという人はそれでいいと思うんですけど、家族がいる人も多いと思いますし、自分の子どもとか奥さんがどう考えるのか、ということを一番に考えてほしい。きょうだいよりも僕はそこを一番に考えるべきと思います。」 RKB毎日放送 石川恵子
RKB毎日放送
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