「アナと雪の女王」が今夜放送!あらすじ・キャストまとめ、「アナ雪」が打ち出した新機軸【ネタバレあり】
今年で日本公開10周年を迎え、日本でも未だ人気が衰えることのないディズニー・アニメーションの傑作「アナと雪の女王」が本日11月29日午後9時から、日本テレビ系の「金曜ロードショー」で放送されます。映画.comでは、概要やあらすじ、キャスト情報のほか、当時の「アナ雪」フィーバーや、本作が打ち出した新機軸などについて解説します。 触れたものすべてを凍らせる力を持つ王家の娘エルサと、天真爛漫な妹アナの姉妹愛を軸に、冬に閉ざされた王国を救おうとするアナの冒険と、エルサ自身の自我の開放をドラマティックに描いた本作。第86回アカデミー賞では、長編アニメ映画賞とともに、ロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻による主題歌「Let It Go」がアカデミー主題歌賞を受賞しました。また、同作は第71回ゴールデングローブ賞、第67回英国アカデミー(BAFTA)賞、アニー賞では作品賞を含む計5部門を制覇するなど、ディズニーアニメ“3度目の黄金期”到来を世界に知らしめました。 「Let It Go」は、日本で「レット・イット・ゴー ありのままで」のタイトルとなり、日本語吹き替え版を担当した故神田沙也加さんと松たか子が歌ったことで大ヒット。映画は国内興行収入255億円のメガヒットとなり、当時は洋画で「タイタニック」に次ぐ歴代2位、邦画を合わせても歴代3位(現在は4位)の記録となる“アナ雪現象”を巻き起こしました。さらに14年新語・流行語大賞にて、同曲から「ありのままで」「レリゴー」が候補の50語入りを果たし、「ありのままで」がトップ10に選ばれました。また、このあと、シリーズ長編第3作目となる「アナと雪の女王3(仮題)」が2027年11月24日の全米公開を予定しています。 【あらすじ】 エルサ(松)とアナ(神田さん)は、アレンデール王国の王家に育った仲良し姉妹。触れたものを凍らせる力を持つエルサに見守られながら、アナは明るく素直に成長していた。しかしある日、エルサが誤って秘密の力をアナに使ってしまい、ケガをさせてしまう。これ以上、妹のアナを傷つけてしまうことを恐れたエルサは心を閉ざし、妹を遠ざけたまま、月日は流れていく。 ある時、突然の事故で両親を失い、王位を継ぐことになったエルサは、アナと久しぶりに顔を合わせる。アナは出会ったばかりの南諸国のハンス王子(津田英佑)と婚約すると言いはじめ、心を乱されたエルサは、大勢の人々の前で禁断の力を使ってしまう。城を飛び出したエルサは、たどり着いた山奥で自ら作り上げた氷の宮殿に身を隠すことに。それ以来、アレンデール王国は凍てつく冬の世界となる。アナはエルサを救うため、山男のクリストフ(原慎一郎)と雪だるまのオラフ(武内駿輔)と共に旅をしていく。 【キャラクター/英語版声優/日本語吹替版声優】 アナ:クリステン・ベル/神田沙也加さん 雪の女王/エルサ:イディナ・メンゼル/松たか子 クリストフ:ジョナサン・グロフ/原慎一郎 オラフ:ジョシュ・ギャッド/武内駿輔 ハンス:サンティノ・フォンタナ/津田英佑 ウェーゼルトン公爵:アラン・テュディック/多田野曜平 パビー:キーラン・ハインズ/安崎求 【「アナ雪」がディズニー映画史に刻んだ3つのトピック】 ●ジェニファー・リー監督は、ディズニーアニメ初の女性監督だった 「アナと雪の女王」の脚本を担当し、クリス・バックと共同監督も務めたジェニファー・リーは、当時、女性として初めて、ディズニーアニメの長編監督になった人物でした。彼女は「アナ雪」の全シリーズに関わっており、最近では「ウィッシュ」の脚本も手がけています。 米ハリウッド・レポーターによると、「アナと雪の女王3(仮題)」の監督・脚本、さらに「アナと雪の女王4(仮題)」の脚本・製作総指揮を担当するリーは、6年間務めてきたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を退任し、新作に専念するとのことで、今後の活躍にも期待がかけられています。 ●いまだかつてなかったヴィランの意外性 (※以降、決定的なネタバレを含みます) ディズニー・アニメーションにおいて、正義や愛を体現する主役を際立たせるために、ヴィラン(悪役)の存在は欠かせませんが、「アナ雪」の場合は、これまでの常識を覆すヴィランが話題に。 米エンターテインメント・ウィークリー誌の人気コーナー「アントールド・ストーリー」の取材を受けた製作のピーター・デル・ベッチョによると、そもそも当初、エルサがヴィランとなる予定だったとか。 「アナとエルサは姉妹でもなければ王族でもなく、エルサのキャラクターに至っては、インスピレーションとなったアンデルセン童話『雪の女王』同様、とことん冷徹な悪役という設定だったんです。心の清いヒロインと邪悪な女ヴィランの対決というごく単純な構図のもと、エルサ率いるスノーモンスター軍団との壮大なバトルがラストを飾るはずでした」と、もともとあった設定について明かしています。 ところが、それでは観客の共感を得られないと考えたジェニファー・リー監督が、バック監督と共に「エルサとアナを姉妹するのはどうか?」というアイデアに至り、それを具現化させたとか。 また、後半でヴィランと判明するのが、礼儀正しくて誠実そうな印象だったハンス王子という点もかなり画期的でした。出会ってすぐにアナと意気投合して結婚の約束をした王子は、アナが危険な旅に出ている間、アレンデール王国を守るという大役も担っていました。ところが、ハンス王子の目的は、アナとの政略結婚で、アレンデールの王位を継承することでした。 やがて彼の極悪非道ぶりが明らかとなり、アナとハンス王子の“運命のキス”を期待していた観客を良い意味でバッサリと裏切る形になりました。 ●王子様は不要!? 迎えたのは今日的なハッピーエンド 映画のクライマックスで、遂に本性が暴かれたハンス王子。彼から剣を振り下ろされたエルサを、身を挺してかばったのは、なんとアナでした。その瞬間、氷の魔法がいまだ解けないアナの体は、氷像のように凍りつき、ハンスの剣を砕きます。動かなくなったアナを抱きしめ、泣き崩れるエルサ。すると、アナは元の姿を取り戻し、息を吹き返します。 これぞ、本当に相手のことを思いやるという“真実の愛”であり、それがエルサの魔法を制御できる唯一の術だったようです。これまでのディズニー・プリンセス映画にはなかった驚きと感動に満ちた結末に話題騒然。王子のキスでプリンセスが目覚めるという古典的価値観から脱却したこの結末は、自らの意思で決断し、未来を切り開くという新世代のヒロインを象徴するものとなりました。 時代が反映されたようなこの価値観は、その後「モアナと伝説の海」「ラーヤと龍の王国」「ウィッシュ」といった作品にも継承され、ディズニー・アニメーションにおける新たなスタンダードとなりつつあるようです。