マクルウがマグネシウム押出機導入。固相リサイクル加速、管棒製品を内製化
マグネシウム合金展伸材の加工を手掛けるマクルウ(本社・静岡県富士宮市、社長・安倍雅史氏)は、マグネシウム押出機を導入した。自社工場で発生するマグネシウムスクラップを押出成形して固化・再生する「固相リサイクル」のための一環で、このほど本格稼働を開始した。これまで外部から調達していたマグネシウム管棒製品の内製化も可能になり、マグネシウム製品の品質向上とコスト低減につなげる考え。 マクルウが導入したのは、690トン直接押出機とビレット加熱炉や自動切断機などの付帯設備。押出機は直径40ミリ、長さ7メートルまで製造でき、合金はAZ31やAZ61、ZM21などに対応している。生産目標は年間20トン。 マクルウの押出機導入は、マグネシウム合金スクラップの水平リサイクルを目的にしたもの。マグネシウム展伸材を用いて杖や車いすといった介護用品などを製造している同社は、2021年に産業技術総合研究所(産総研)と「固相リサイクル法」の共同研究を開始。ラボレベルでの実証にめどをつけた22年に第二工場(静岡県富士宮市田中町578)を開設し、23年には第二工場へ押出機の導入準備を進めるとともに、マグネシウムスクラップを溶解不要かつ押出による加圧のみによる工業レベルでの水平リサイクルを確認した。これによりマクルウ社内で発生したマグネシウム合金パイプ屑などを再利用できるスキームを整えた。同社はリサイクルマグネシウム製品を電池用異形材などとして販売していきたい考え。 これまで中国から調達していた棒材や素管の内製化も、今年4月に完了した。海外からの素材調達では納期に時間がかかるほか、輸送時の表面傷や酸化してしまうリスクがあったがこれを解消できる。また管棒製品をサイズ別に在庫せず、ビレットとして保有すればよくなるため在庫圧縮が可能になる。 マクルウでは今後、マグネシウム管棒製品の販売を強化する考えだが「量産性を高めるため、人手に頼っている工程の機械化も検討していく。生産効率の引き上げと品質改善に取り組み、自社加工品などに使用していきたい」(安倍信貴常務取締役)とする。またリサイクルマグネシウム製品については「自社発生スクラップだけでなく、他社スクラップ材の受け入れ検討を始めた。条件が整えば受け入れが可能と見ているが、しばらくは生産量が限られるため環境負荷が少ない製品として、マグネシウム電池向けなどに拡販していきたい」(同)考えだ。