アメリカ各地にトランプ氏を皮肉る "謎の像" が出現、話題に【米大統領選2024】
大統領選直前のアメリカで、共和党候補のドナルド・トランプ氏と支持者たちを揶揄(やゆ)する像が、全国各地に出現している。一部の制作を認めたアーティストは、国民がトランプ氏への抵抗に「疲れている」と活動の理由を語った。 【画像】実際のトランプ氏像はこちら
発端は10月26日。首都ワシントンの連邦議会議事堂の近くに、渦巻状の「排泄物」像が設置された。排泄物は、元下院議長ナンシー・ペロシ氏の机を模した台上に置かれていた。 ペロシ氏の机は、2021年1月6日に連邦議会議事堂で起きた暴動事件を象徴する存在だ。議事堂を襲撃したトランプ支持者が机の上に足を乗せた写真が、ひろく報じられた。像の台座には、皮肉を込めた次のような文が刻まれていた。 「この記念碑は、2021年1月6日、選挙結果を覆すため連邦議会議事堂に侵入し、神聖な場で略奪、放尿、排便を行った勇敢な男女を称えるものだ」 「トランプ(元)大統領は、1月6日の英雄たちを『驚くべき愛国者 』『戦士』として称えた。この記念碑は、彼らの果敢な犠牲と永続的な遺産の証として立っている」
10月28日には、「ドナルド・J・トランプの消えない炎」と題されたトーチ像が、ホワイトハウスの近くに現れる。 この像は、2017年8月にバージニア州シャーロッツビルで行われた極右集会での事件を示唆している。集会に参加した白人至上主義者たちと、それに抗議する人々との間で衝突が起き、1人が死亡、19人が負傷した。台座には、次のように書かれていた。 「この記念碑は、ドナルド・トランプ(元)大統領と、バージニア州シャーロッツビルのデモ行進に際して大統領が果敢に擁護した『非常に素晴らしい人々』に、敬意を表するものだ」 「参加者を白人至上主義者やネオナチと呼ぶ人も多い中、トランプ大統領は『彼らは不当に扱われたに違いない』と、誰よりも強く訴えた。この記念碑は、その大胆な宣言を永遠に思い起こさせる」
そして10月30日、ペンシルベニア州フィラデルフィアにトランプ氏の立像が設置された。 トランプ像は、裸婦像「マヤ」の後ろ姿を眺めるような形で置かれている。題は「性的暴行の生涯に敬意を表して」。 台座には、女性関係にまつわるトランプ氏の過去の発言が引用されている。2005年にテレビ番組『アクセス・ハリウッド』で収録され、2016年に物議を醸した一説だ。 「キスし始めるんだ。磁石みたいに。ただすればいい。待たなくていい。スターになれば、なんでもやらせてくれる。アソコを掴むんだ。なんだってできる」 ガーディアン紙によると、これまで27人の女性が性的暴行でトランプ氏を告発している。 CNNによると、オレゴン州ポートランドにも同じ像が設置されたが、トランプ支持者によりすぐに破壊された。トーチ像も破壊され、現場には残っていない。排泄物像も損壊しているという。
一連の活動は、いったい誰によるものなのか? ニューヨーク・マガジンが、像を制作したアーティストへの接触に成功している。
アーティストはトランプ氏の立像2体を手がけたことは認めているが、他の像への関与は明示していない。 活動の理由について、人々がトランプ氏への抵抗に「疲れてしまっているから」と指摘した。 「『抵抗疲れ、対疲労性』とは興味深いもので、今まさに世界の多くの地域で起きていることだと思います」 「大統領候補者、一人の人間としてのトランプ氏にまつわる衝撃的なことを、人々が忘れてしまったり麻痺したり、当たり前になったりしてしまうことが、私はとても恐ろしい」 「こういった衝撃的で、現実的で、重要な事柄を、作品展示によって楽しく皮肉な方法で、全国的な議題に挙げようと試みています」