エヌビディア株にまだ十分な上昇余地、バンク・オブ・アメリカ主張
バンク・オブ・アメリカのアナリストたちは、先に史上最高値を記録したエヌビディアの株価には、さらに上昇の余地があると主張している。非常に有望な成長見通しを背景に、AI業界のリーダーであるエヌビディアの目標株価を大幅に引き上げたのだ。 バンク・オブ・アメリカのヴィヴェック・アリヤが率いるグループは、エヌビディアの目標株価を165ドル(約2万4700円)から190ドル(約2万8400円)に引き上げた。これは、金曜日に記録したエヌビディアの株価138ドル(約2万1000円、週次終値の新高値)から37%の上昇余地を示している。 アリヤらは、エヌビディアにはAIアクセラレータ分野において「世代を画する機会」がまだあると述べた。AIアクセラレータは生成AIアプリケーションに必要なフルスタックの半導体システムであり、エヌビディアはこの市場で約80%のシェアを有している。アルファベット、メタ、OpenAIといった大手顧客が、大規模言語モデルを訓練するためにエヌビディアのGPU(グラフィックス処理装置)に大規模な投資をしていることが背景にある。 バンク・オブ・アメリカは、このAI技術によるアプローチ可能な市場が2023年の450億ドル(約6兆7300億円)から2024年には1170億ドル(17兆4900億円)、そして2030年末までに3630億ドル(約54兆2800億円)に成長すると予測している。そこでエヌビディアは75%の市場シェアを維持し、2030年にはAIコンピューティングによる収益が2720億ドル(約40兆6700億円)に達するという見通しを示している。 ちなみに、アップルは2023年にiPhoneで2040億ドル(約30兆5000億円)の収益を上げている。
アナリストが設定した目標株価で示唆されるエヌビディアの時価総額はアップルを大幅に上回る
バンク・オブ・アメリカが挙げる他の好材料として、エヌビディアの利益率が同業他社を大きく上回っていることがある。今後2年間のフリーキャッシュフローマージン(FCF、収益に対して企業がどれくらいの現金を自由に使えるか)は約50%と予測され、これは他の5つの1兆ドル(約149兆円)クラスの米国テクノロジー大手の平均の2倍に相当する。また、カスタムGPUの販売以外に「過小評価されている」収入源として、コンサルティング企業アクセンチュアやマイクロソフトとの有利なパートナーシップも挙げられる。 バンク・オブ・アメリカのアナリストが設定した190ドル(約2万8400円)の目標株価によって示唆されるエヌビディアの時価総額は4兆7000億ドル(約702兆7400億円)だ。これは上場企業の市場価値の最高記録であるアップルの3兆6000億ドル(約538兆2700億円)を大幅に上回る。 エヌビディアは時価総額3兆4000億ドル(約508兆3700億円)で、世界で2番目に価値のある企業だ。この評価額は10年前の約100億ドル(約1兆5000億円)から、そしてわずか2年前の3000億ドル(約44兆8600億円)弱の時価総額から大きく飛躍したものだ。エヌビディアの株価上昇は、2022年後半にリリースされたOpenAIの生成AIチャットボット「ChatGPT」の登場が引きがねとなった。これらのAIアプリケーションの基盤にエヌビディアのGPUが使われていることが同社の収益を急増させた要因となっている。 エヌビディアの売上高と純利益は、2022年の同時期と比較して7月までの四半期でそれぞれ350%と2400%増加した。もともとビデオゲームのグラフィックス技術で知られていたエヌビディアは、現在も創業者であるCEOのジェンスン・フアンによって率いられており、フォーブスの計算によると、会社の3%の株式を保有するフアンは世界で11番目の富豪となっている。一般的な評価指標によると、エヌビディアの株価はファンダメンタルズに比べて割高で、S&P500の中で過去12カ月の売上高に対する時価総額の比率(株価売上高倍率)が2番目に高い。しかし、フアンが「感情的」で「常軌を逸した」と表現するエヌビディア製品への需要によって、多くの投資家は依然として強気を維持している。
Derek Saul