「高額療養費」の申請で忘れると大損!負担軽減の“裏ワザ”を使い倒せ
● 同じ健康保険に加入する家族は 高額療養費の世帯合算ができる 病院や診療所を受診すると、窓口では、年齢や所得に応じて、かかった医療費の1~3割を自己負担する。風邪や胃腸炎、ちょっとしたケガなど、日常的な病気やケガの治療なら、たとえ医療費の1~3割を支払っても家計へのダメージは低く抑えられる。 だが、入院したり化学治療を受けたりして、医療費が高額になると、1~3割といえども患者の自己負担額は高額になる。たとえば、医療費が1000万円かかった場合は、3割負担で300万円、2割負担で200万円、1割負担でも100万円だ。医療費が家計の大きな負担となり、貧困に陥ってしまう可能性が出てくる。 そこで、1974年に導入されたのが高額療養費だ。医療費が家計に過度な負担にならないように、患者が1カ月に支払う医療費の自己負担部分に上限を設けた制度だ。医療費が一定額までは通常通りに1~3割を支払うが、そのラインを超えた部分の医療費については、患者負担が軽減されるという仕組みになっている。 24年12月現在、70歳未満の人の高額療養費の自己負担限度額は、下図のように所得に応じて5段階に分類されている(26年8月以降は13段階に細分化される予定)。 たとえば、(ウ)の年収約370万~約770万円の人の1カ月あたりの上限額は、【8万100円+(医療費の総額-26万7000円)×1%】。医療費が100万円だった場合、3割負担だと30万円が自己負担額になるが、高額療養費が適用されると最終的な自己負担は9万円程度になる。 以前は、病院や診療所の窓口で、いったん医療費の3割を支払った後で、加入している健康保険組合に患者自身が申請して、高額療養費の上限額との差額を払い戻してもらう手続きが必要だった。 だが、診療報酬請求の仕組み上、還付金が振り込まれるまでには3カ月程度かかる。いずれ還付されるとはいえ、その間に数十万~数百万円ものお金を準備するのは容易なことではない。 特に、がんなど治療が長引く病気の治療をしている人の負担は大きく、資金繰りに悩む患者からの訴えによって「限度額適用認定証」がつくられることになった。