<集団的自衛権を考える> どの国が対象? どこまで派遣? 今後議論が必要なテーマとは
「多国籍軍」への参加は?
集団的自衛権を行使できるようになると、「多国籍軍」への協力を断りにくくなるという問題もあります。集団的自衛権の行使が憲法上できないのであれば、日本が断るのもやむを得ないと国際的にも納得してもらえますが、行使ができるのに断るのは困難だからです。この問題について政府は、集団的自衛権は権利であって行使するかしないかは日本が決められると言っていますが、それは法律論に過ぎません。 紛争中の機雷除去に関わるのがよいか問題があると事例編で指摘しました。自衛隊が機雷を除去している最中に紛争が再発すれば撤退すべきであり、撤退しないで機雷除去を続けることは紛争中の一方に加担して武力行使することになります。集団的自衛権として機雷の除去を理論づけると、このような不都合が出てくるでしょう。 閣議決定についてはまだ問題が残っています。今後の国会審議で疑問点が解明され、不適切な点は勇気をもって改善されることが望まれます。 (美根慶樹/キヤノングローバル戦略研究所)