「獲得候補にすら入ってなかった」徳田幹太に金沢ポートが複数年契約でオファーしたワケ
大学生チャンピオンとなった徳田幹太(早稲田大学)が、金沢ポートからTリーグに参戦する。 私も学生卓球ファンの1人として、全日学王者にオファーが届いてほしいと願っていたが、まさかの金沢ポートから、しかも複数年契約でのオファーと言うのだから驚きだ。 サプライズ契約の理由を伺うべく、金沢ポートの西東輝監督にインタビューを敢行した。 話を聞いてくと、徳田が自らの結果で人生を切り拓いた事実とともに、西東監督のチーム作りに対する熱い思いが伝わってきた。
実は獲得する候補にもあがっていなかった
――全日学王者の徳田幹太選手、どこかのチームがオファーしてほしいとは思っていましたが、金沢ポートだとは驚きでした。 西東輝監督:徳田は元々良い子だとはわかっていましたが、昨日ミーティングをしました。自分のところの選手になるという贔屓目もありますが、金沢ポートに合っているなと感じました。 ただ、徳田については正直なところ、全日学前まで獲得候補にすら入っていませんでした。 ――徳田選手が自らの結果で評価を覆したわけですね。 どこを評価されたのでしょうか? 西東輝監督:選手獲得において大切に考えている基準がいくつか私の中であります。 その1つが「諦めない選手」。これは一番大事です。 勝てるのが一番ですが、勝負事なので負けることもあります。よく例に出して言うのですが、「負けるとしてもかっこいい負け方ができる選手」は評価しています。 どんなに苦しくても粘って簡単に負けない。徳田もそういう選手ですよね。 ――確かに徳田選手は全日学で0-3からの逆転や、マッチポイントを握られてからの逆転など、諦めない姿勢が印象的でした。 西東輝監督:元々は三浦裕大(筑波大学)を獲得する最終チェックのために全日学を見ていたので、準々決勝はむしろ三浦を応援していました(笑)。 でも徳田は0-3から踏ん張ってギリギリで逆転勝利。 5回戦から4試合連続フルゲームで28ゲームを戦って、しかもマッチポイントを何度も何度も凌いで優勝と、さすがに心を動かされましたね。 西東輝監督:「どんな感じだったの?」と本人に聞いたら「準決勝、決勝はゲームオールになった瞬間、負ける気がしなかったです。決勝では先にマッチポイント取られましたが、それでもいけると思っていました」と言っていたんですよね。 一皮も二皮も剥けたなと思いましたし、「諦めない選手」かつ「人の心を動かせる選手」はなかなかいないので、思い切って最後の1枠を使って獲得しようと決断しました。 ――西東監督の獲得選手像にマッチしたということですね。 西東輝監督:金沢ポートというチームは、事業部、運営、選手、スポンサー、ファン皆さんの協力があって、ギリギリで踏ん張っています。私の人生もいつも踏ん張ってばかりです。 今回の徳田を見ていて、踏ん張りがきく選手だと感じましたし、試合中の立ち振る舞いも含めて金沢ポートで獲得したいと思えました。