「獲得候補にすら入ってなかった」徳田幹太に金沢ポートが複数年契約でオファーしたワケ
ポテンシャルの高さを見込んで複数年契約
――徳田選手には金沢ポートに入って、どういう選手になっていってほしいですか? 西東輝監督:大学生チャンピオンだからと言って、すぐに勝てるほどTリーグは甘くありません。 ただ、高いポテンシャルを開花させてあげて、数年後に金沢ポートやTリーグを代表する選手になってほしいと思っています。 その期待も込めて複数年契約しました。 ――まさかの複数年契約だったんですね。ポテンシャルを高く評価されていますね。 西東輝監督:実は徳田のことは、小学生の頃から知っていました。一度石川県に来た試合で見たことがあって、「こんなすごいプレーする子がいるんだ」と思っていました。ただそこから全国ではベスト8やベスト4止まりで、日本一には届かなかった。 日本一になるマインドと才能はあるけど、花開いてなかった選手という印象でした。 西東輝監督:結果が出ずに諦めてしまう選手も多くいますが、徳田は「自分ならもっとできる」と努力し続けてきたんだと思います。 周りからは卓球エリートに見られてきて、傍から見れば十分な成績を収めてるけど、今の状況を不遇とさえ思えるハングリー精神はとても良いところです。 今回、自分の力で日本一を勝ち取って金沢ポートと契約して人生を切り拓いたというストーリーも、応援したくなる選手だなと思います。 ――ファンがつきそうなプロ向きのマインドですね。 西東輝監督:甘いマスクという武器もあるので、ファンは増えるでしょう(笑)。
技術が多彩で強くなる可能性が無限大
――技術面ではどこにポテンシャルの高さを感じていますか? 西東輝監督:技術が多彩なところですね。 私は卓球選手を「6箇所から打てるか」という観点でよく見ています。 ・前陣のフォア、バック ※前陣=頂点より前の跳ね際。打球点が低い ・中陣のフォア、バック ※中陣=上昇途中の頂点付近。打球点が高い ・後陣のフォア、バック ※後陣=頂点から落ちてくる部分。打球点が低い の6箇所です。 例えば松平健太だと、前陣の早い打点で両ハンドを打てますし、少し下がったり、引き合いレベルまで下がっても両ハンド打つことができます。なので6個揃っています。 ――そういう見方があるのですね。勉強になります。 西東輝監督:すでにできている部分の質を上げることは簡単にできますが、できてないものをできるようにするのは相当難しいです。 これはたぶん野田学園がすごいんだと思うんですが、徳田は6箇所全部から打てます。 特に中陣でバックドライブができるから、右右でダブルスが組めています。右右でダブルスを組んだ時はどうしてもバック側に詰められる。でも徳田がバックで中陣から打てるので濵田一輝とのダブルスは強いんですよね。 ――なるほど。 西東輝監督:あとはチキータが上手いけど、フォアの台上も器用なところ、しっかりとフォアハンドで動けるところも評価しています。 実は全部の技術ができるから、パワーや質を高めればいくらでも伸びしろがあります。強くなる可能性が無限大です。