「12年で6兆円投資」アマゾンが日本市場に積極投資する理由とは 干しシイタケは海外販売で売り上げ50倍!「日本の特産品は海外で有望」
「お客さまが安心して商品を受け取れる新しい方法の導入と同じくらい、テクノロジー活用も重要です。ドライバーが目的地に迷うことなくスムーズに行くためには、配送で使う地図が正しく表示され、渋滞情報を的確に反映した最短のルートが示されている必要があります。生成人工知能(AI)も含めてテクノロジーを活用します」 ▽海外で売れる宮崎の干しシイタケ。中小企業の好循環に ―国内のネット通販市場の先行きをどうみていますか? 「経済産業省の調査では、国内物販のうち電子商取引(EC)の占める割合は2022年で9%と、欧米と比べて5ポイントほど低く、国内市場は成長の余地がまだまだたくさんあります。お客さまが求める配送スピードにまだお応えできていない面もあり、改善に努めます」 ―アマゾンが取り扱う中小企業の商品が増えています。 「2022年は約14万の販売事業者がアマゾンジャパンを通じて数億の商品を販売しました。その事業者の多くは中小企業です。中小企業はより良い商品を作ろうと開発に力を入れていますが、販路拡大や自力でECに乗り出す経営資源は限られています。アマゾンにはフルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)という仕組みがあり、企業が商品を物流拠点に納品すれば、アマゾンが受注から梱包、発送、返品対応まで代行するサービスです。中小企業がこの仕組みを使うと、限られた経営資源を商品開発に集中でき、魅力的な新商品を生み出せれば好循環につながります」
―中小企業はどのように販路を拡大できますか。 「アマゾンはグローバルに事業展開しているため、販売網は国内だけでなく、世界中にあります。中小企業がアマゾンの仕組みを使えば、米国や欧州でも簡単に商品を販売できます。言語の問題を気にすることなく、全世界の販路にアクセスできるようになるのです。国境をまたぐ電子商取引は『越境EC』と呼ばれており、これを使えば無限のお客さまに出会うことが可能になります」 ―海外に販路を拡大した中小企業の具体的な成功事例はありますか。 「例えば、干しシイタケを販売する宮崎県の杉本商店は、海外に販路を広げたことで売り上げが2016年と比べて約50倍になりました。2022年には国内の中小企業など約4千社がアマゾンを通じて約5500万点の商品を海外に販売し、取扱商品数は前年比で約30%増えました。世界的な健康志向の高まりを背景に、地域特産のシイタケやこうじが好評でした。日本各地の特産品は海外でもとても有望です」