「12年で6兆円投資」アマゾンが日本市場に積極投資する理由とは 干しシイタケは海外販売で売り上げ50倍!「日本の特産品は海外で有望」
インターネット通販の代名詞として日常生活に浸透した「アマゾン・コム」。スマートフォンで「ポチッ」と商品を注文すれば、国内の多くの消費者が翌日に受け取れる利便性が売りだ。事業者にとっては、言葉や地域に制約されることなく商品を販売できる重要な場になっている。一方で、増え続ける荷物の配達に追われ、心身ともに疲弊するドライバーの存在が社会問題化している。 【写真】アマゾンジャパンから配達員に届いたメール
2001年からアマゾンジャパン(東京)を率いるジャスパー・チャン社長が共同通信のインタビューに応じた。「2010年から2022年までに総額約6兆円を投資した」と明かしたチャン氏。日本で積極投資を続ける理由を語った。(共同通信=柿元孟) ▽翌日配送可能な商品は700万点以上、対象はほぼ全国に拡大 ―アマゾンは近年、国内各地に物流拠点を設けていますが、どのくらい投資しているのですか。 「アマゾンジャパンが2010年から2022年に国内で投資した総額は計約6兆円です。この投資額は、日本の市場を重視していることの表れです。投資のペースは徐々に上がっています。物流改善の観点でいうと、入荷や在庫管理、出荷までの物流や配送の施設を充実させました。自動化を進め、ロボットも導入して作業効率を改善しました」 ―投資のペースが上がっているそうですが、具体的には。 「2022年には約1兆2千億円を投じました。物流拠点、いわゆる倉庫を埼玉、神奈川、兵庫の3県に増やし、約25カ所となりました。このほか、消費者の自宅までの「ラストワンマイル配送」を担う拠点も18カ所新設して、全国で計50カ所となりました。物流拠点を運営する人員を含めたアマゾンの直接雇用者も増え、従業員は計約1万2千人となりました」 ―投資することで消費者にはどんなメリットがあるのでしょうか。
「在庫のある商品を幅広い地域で翌日に配送できるようになりました。翌日配送可能な商品は700万点以上になり、北海道を除き、ほぼ全国に対象が拡大しました」 ▽空気を運ぶのは無駄。梱包材を小さく ―物流業界は、トラックドライバーの残業規制強化によって起こる混乱を懸念しています。いわゆる物流の「2024年問題」に対しては、具体的にどのような取り組みを進めていますか。 「ドライバーが無駄なく配送できるよう工夫しています。例えば、再配達を減らすために荷物を置いて帰る『置き配』を推進しています。自宅に宅配ボックスがなかったり、置き配に不安があったりする人でも安心して受け取れるよう、コンビニやスーパーと隣接する場所などに専用ロッカーの設置を進めており、42都道府県で計約4千台あります」 ―商品の梱包を簡素化していますが、それはどうしてですか。 「梱包を小さくして一度に配送できる量を増やし、配送を効率化しています。これまでは商品を大きな箱に入れていましたが、空気を運ぶのは無駄だと考え、梱包材を小さくすることで1度の配達でトラックに積める量を増やしました。環境負荷を低減する狙いもあります」 ―配送効率化にITはどのように活用していますか。