2014年プロ野球、得失点差で振り返る ── 巨人はなぜ勝てた?
そしてその楽天に開幕3連敗を喫した西武も低迷した。伊原新監督を迎えてのシーズンだったが、打撃陣の構成に失敗、投手陣を援護できず接戦をものにできないケースが目立ち、4月は得失点差マイナス26で負け越し10、5月に入っても黒星のペースは変わらず6月4日には早々に伊原監督の辞任という事態に至ってしまった。田辺監督代行就任後は大きく負けることもなかったが、借金が0に近づくこともなくシーズンを終えた。 ロッテは開幕から毎月得失点がマイナスで推移した。FA移籍しエースとして期待された涌井の調子も上がらず、唐川も成績が伸びず、打線も4番打者が決まらずと投打の軸が定まらない状態が続いた。その中でも6月までは勝率5割弱を維持していたが、7月2日からの6連敗で借金が10に到達すると以降は浮上のきっかけすらつかめなかった。 そして終始安定しながらも成績が伸びなかったのが日本ハム、一年を通じて貯金5と借金5の間を行き来し続けた。得失点も年間を通じて変化が少なく調子の波のないシーズンだったといえる。若手の大谷、西川らが順調に成長するなど決して悪いシーズンではなかったが、大きな連勝をする勢いもなかった。12球団で最もチーム力どおりの結果が出たチームといえるのではないだろうか。 ソフトバンクとオリックスで繰り広げられたマッチレースは最後の最後まで続いた。それまで高いレベルでの争いを繰り広げていた両チームだったが、9月に入るとともに失速。ただその原因は異なっていた。ソフトバンクは9月以降チーム状態が落ちた。8月末時点でチーム打率は.285、防御率は3.11と高いレベルにあったが9月は打率.256、防御率4.00と低迷、その結果得失点もマイナス25と月間初のマイナスに転落、必然的に勝てなくなり貯金は目減りしていった。一方のオリックスは9月以降も得失点差はプラス8、それでいて2つの負け越しを喫してしまった。これは救援陣が力尽きたことに原因があるといえるだろう。とくに守護神の平野佳が月間5敗と大誤算、最終的にソフトバンクとの差は勝率でわずか2厘。どこか1試合でも救援に成功していればと考えずにはいられない。