若手社員の8割近くが「管理職になりたくない」…リーダーが育ちにくい時代の「上司代行」の可能性
「上司代行」の導入で得られたメリット
実際、企業はどのように上司代行を活用しているのか? 「ある大手人材企業では、リーダー候補の育成のために6名の上司代行を導入しました。この企業が上司代行を導入した背景には、会社の成熟化に伴う課題がありました。創業期のメンバーである現在の経営陣など幹部は、挑戦や失敗による高い経験値がある。しかし、大企業となった今の会社には、失敗が許されない空気感や、前例の踏襲の連続など、新たな挑戦ができない雰囲気が確立されてしまっていました。 そこで、挑戦や失敗ができる場づくりのために、上司代行を導入したのです」 (株式会社Hajimari メンタープロパートナーズ事業責任者 高橋氏) 定期的なミーティングの中で、リーダー候補たちは、実務ではなかなかじっくりと教わる時間のない「リーダーとしての心構え」や「再現性のある数字の上げ方」「部署の成長のさせ方」などを上司代行から学んだという。 結果として、実務能力の向上はもちろんのこと、上司代行が指導した部下たちが、新規事業の事業部長を担うまでに成長した。滑り出しがいいとはいえない新規事業もあるが、そもそも新しい事業が立ち上がったということ自体が大きな成果と言えそうだ。 企業側も「ボトムアップの発言が増えた」「困難にも自分でなんとかしようとする姿勢を感じる」と満足度は高いようだ。さらには、外部の第三者である代行上司が客観的なアドバイスを送ることで、既存の管理職や社員同士のコミュニケーションが円滑になるという副次的な効果も見られたという。 Hajimariの高橋氏はまた、予期せぬ効果として「部下社員たちの視野が大きく広がったこと」もあげる。自社に閉じないキャリアのアドバイスを受けることで「人生単位でキャリアについて考えられるようになった」「人生の目標ができた」という声も聞かれたという。 * * * 外部顧問や、外部コンサルよりも、組織体制や人間関係を理解しているので、あらゆる話がスムーズでスピードがあるという「上司代行」。後編記事〈「自分は見捨てられたのではないか…」“上司代行”の指導を受けた部下の「意外な心境の変化」〉では引き続き導入企業のリアルな声や、サービスの課題について見ていこう。
マネー現代編集部