都バス「24時間化」試験運行3か月 現状と今後は?
東京都交通局は、東京23区と青梅地区とで乗合バスを運行しています。都営バス(都バス)は、昨年12月20日から渋谷駅-六本木駅間で終夜運行を試験的に開始しました。猪瀬直樹前都知事の肝煎りで始まった都バスの24時間化はどうなったのか。現状を探ってみました。
実は昔からある深夜バス
昨年12月20日から、都バスの24時間試験運行が始まりました。都バスの終夜運行は、猪瀬直樹副知事(当時)の肝煎りで、検討が進められてきたものが実現した形です。しかし、実はそれ以前から、都バスでは深夜バスを運行していました。それが"ミッドナイト25"です。 「都バスは昭和62(1987)年から、深夜バスの運行を開始しています。当時は、まだ24時間営業の店は少なく、いまのような社会的状況ではありません。しかし、バブル景気の影響で、六本木などの都心部は深夜でもにぎわっていました。そうした需要を取り込むべく、六本木を経由する渋谷駅―新橋駅北口間で深夜バスの運行が始められたのです」(東京都交通局) "ミッドナイト25"は、25時台にターミナル駅を出発することが愛称の由来です。"ミッドナイト25"はバブル景気も相まって、深夜まで遊ぶ若者や遅くまで残業するビジネスマンに好評を博しました。そして、その後も路線を拡大させていきました。2014年3月1日現在、6路線を運行中です。
五輪見据えた「渋谷~六本木」試験運行
"ミッドナイト25"の路線図を見ると、ターミナル駅と住宅街を結んでいます。そうしたことからもわかるように、"ミッドナイト25"は終電を逃してしまった人のための帰宅用の深夜バスなのです。夜中まで街で遊ぶ人を考慮していないものでした。しかし、今回始まった渋谷駅~六本木駅を往復する終夜運行バスは、それらと意味合いがすこし異なります。 終夜バスが試験運行される背景には、東京オリンピックがあります。オリンピックの開催期間中、たくさんの外国人観光客が東京を訪れます。オリンピックを観戦した後に、観光客が飲食やショッピングすることで、多くの経済効果をもたらすと予想されています。 東京は、世界でも有数の眠らない都市といわれます。24時間、絶えず人が活動している都市は、世界を見てもニューヨークやロンドン、パリなどがあります。東京がそれらの都市と比べて優れている点に治安のよさがあります。つまり、初めて日本を訪れた外国人でも安心して観光することができるというわけです。 ところが、東京の公共交通機関は深夜から早朝にかけて運行していません。夜間に飲食店に出かけたり、劇場に足を運んだりすることができないのです。時間を気にしながら遊ぶことは、訪日外国人観光客にとってストレスを感じることでしょう。 昼間と比べても、夜間の方がアルコールといった要素もあって高い経済効果を得られる。都バス24時間化には、東京により大きな経済効果をもたらしたいという思惑が見え隠れしています。