米ハリケーンへの対応を巡る民主・共和の情報戦とハリス氏のメディア戦略
ハリス氏が始めた積極的なメディアへの露出
ハリケーンへの対応を含め、トランプ氏とハリス氏の間で情報戦が激しさを増している。トランプ氏は激戦州で集会を重ねている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、その演説は過激で怒りに満ちており、焦点が定まらなくなっているとして、年齢の影響があることを示唆した。 他方ハリス氏は、メディア露出を一気に増やしている。7日にはCBSテレビの看板報道番組「60ミニッツ」に出演し、経済政策などを説明した。それ以外にも、コメディー番組、若者や女性に人気のポッドキャスト番組、年配の女性層をターゲットにしたABCの朝のトーク番組「ザ・ビュー(The View)」、中国発の動画投稿アプリ「TikTok」、視聴者の4分の3近くが男性の「ザ・ハワード・スターン・ショー(The Howard Stern Show)」、若い男性に人気の深夜トーク番組「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア(The Late Show with Stephen Colbert)」、トークショー、地方のラジオやテレビに至るまで、様々な視聴者層に支持されるメディアに積極的に露出し始めた。 ハリス氏は民主党大統領候補者となって以降、テレビや新聞の取材を比較的避けてきた。トランプ氏はこのことを、「頭が悪いからやらない」と中傷していた。急に始まったハリス氏の積極的なメディア露出は、こうした批判をかわすと同時に、ポッドキャストなどで若者や新聞でニュースを読まない有権者への浸透を図る狙いもあると考えられる。ただしこうした戦略が功を奏するかはまだ分からない。 (参考資料) 「米大統領、災害対応で兵士増派―南部激戦州ノースカロライナへ」、2024年10月7日、共同通信ニュース 「米大統領選 =ハリス氏 メディア露出増 選挙最終盤で戦略転換」、2024年10月9日、静岡新聞 「トランプ氏、ハリケーン災害で誤情報を連発 被災地支援まで「政争の具」に」、2024年10月8日、産経新聞速報ニュース 「災害対応で激しい批判合戦 トランプ氏「不法移民支援のため遅れた」ハリス氏「偽情報だ」」、2024年10月8日、産経新聞速報ニュース 「DJ-ハリス氏、異例のメディア戦略 数々の番組やTikTokに出演」、2024年10月7日、ダウ・ジョーンズ債券・為替情報 「米大統領、災害対応で兵士増派―南部激戦州ノースカロライナへ」、2024年10月7日、共同通信ニュース 「米大統領選 2024=災害対応で兵士増派 バイデン氏 南部激戦州へ」、2024年10月8日、静岡新聞 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英