年金改革でこども扶養に加算拡充 厚労省「次世代を育成」
厚生労働省は3日、こどもを扶養している人の年金に加算する仕組みを拡充する考えを社会保障審議会年金部会(座長=菊池馨実早稲田大法学学術院教授)に示した。現在、老齢基礎年金、障害厚生年金、遺族厚生年金には加算や加給年金がないが、今後、新設する方針。所得保障を厚くして次世代育成を進めたい考えだ。 加算などの仕組みがある老齢厚生年金、障害基礎年金、遺族基礎年金については第1子、第2子、第3子以降で異なる加算額を出生順位にかかわらず一律の金額に引き上げる。こどもが生まれた時点での親の年齢が上がる傾向があることから、こどもが18歳になる年度末までは加算の拡充が必要と判断した。 現在、障害基礎年金で加算対象となるこどもは約11万人。遺族基礎年金の加算対象のこども(4万4000人)よりも多い。障害厚生年金、遺族厚生年金に加給年金が設けられた場合、対象となるこどもはそれぞれ4万3000人、7万3000人と見込まれる。 ■保険料猶予は5年延長 一方、65歳未満の配偶者がいる場合の加給年金は将来的に支給額を縮小する方針だ。国民年金保険料の納付猶予制度について、9月の部会では10年延長する案を示したが、今回、5年の延長に改めた。同居する親の所得が高い場合に猶予制度から外す案も撤回した。 猶予された人は2022年度時点で約58万人。10年以内に保険料を追納すれば老齢基礎年金の受給額に反映されるが、10年以内の追納率は7%であることが同日、分かった。 猶予制度は保険料を納めない無職の若者や引きこもり、メンタルヘルスの不調な人たちを未納のままにしないようにと04年の法改正で導入された。30年6月までの時限措置となっている。