NHK『虎に翼』登場の25歳俳優の“出身地ならではの繊細さ”。色っぽい横顔にも注目
『虎に翼』(NHK総合)で、かつて「光三郎ちゃん」と呼ばれていた少年が、こんなに立派な姿で再登場するとは。 【画像】男女混合のハイキングに愛くるしく参加していた幼少期の光三郎 本田響矢が演じることで、凛々しさと繊細さが絶妙に共存するというのも、大きな見どころ。 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、取材現場でのエピソードを交えながら、本作の本田響矢を解説する。
本田響矢の登場
次はどんな魅力的な男性俳優が、『虎に翼』の画面上を彩ってくれるだろうかと思っていたら、本田響矢が登場した。第13週第61回。ある一家が遺産相続の検認のために家庭裁判所にやってきたのだ。 判事補として担当することになった主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)は、意外な訪問者のひとりに心をざわつかせる。かつて明律大学女子部に講義に来た弁護士・大庭徹男(飯田基祐)の妻で、最年長の学友だった大庭梅子(平岩紙)が神妙な面持ちで部屋に入ってくる。 徹男を家長として、梅子が常に虐げられた立場に置かれていた大庭家の揉め事だ。事情を察する寅子は、梅子との再会を公然と喜ぶことが出来ない。 10年以上の月日が流れ、梅子が一度連れて家を出た三男・大庭光三郎(本田響矢)だって立派な青年だ。
凛々しい好青年に成長
一家の面々がぞろぞろと部屋に入って行く。光三郎の後ろ姿だけでわかる。何と凛々しい好青年に成長しただろうかと。まだ幼かった頃の彼は、いつでも梅子の側にくっついていた。 第4週第18回で、明律大学の男女混合のハイキングに出掛けたときにも、光三郎はちゃっかりついて来ていた。梅子お手製のおにぎりを配りながら、寅子たちを見上げて、自分も参加しようとしていた愛くるしい様子が、懐かしい。 帝大エリートの長男・大庭徹太(見津賢)は、学生時代から父親ばりの尊大さだったが、あれだけ愛くるしい光三郎なら、きっと素直な青年に育っているはず……、と思った視聴者は少なくないだろう。
弱々しさと凛々しさが矛盾しない
相続の権利を主張していがみ合う徹太や次男・大庭徹次(堀家一希)、祖母・大庭常(鷲尾真知子)、徹太の妾・元山すみれ(武田梨奈)に対して、光三郎は中立の立場で必死に仲裁に入ろうとする。 でもまだ学生の彼の言葉が、民法が改正されてもなお、家父長制が根深いこの一家の対立を抑制することはなかなか難しい。 梅子は光三郎について、「お人よしが過ぎる子」と言う。頼りないわけではないが、力強い推進力があるわけでもない。性格が優しい分、極めて繊細で、どちらかと言うと弱々しい存在。 ただ、この繊細な弱々しさと持ち前の凛々しさが矛盾するかと言うと、そうではない。ものすごく紙一重。それが光三郎の大きな魅力であるのだが、本田響矢が、実に的確にそのキャラクター性を伝えている。