誹謗中傷の連鎖、傷つく選手たち SNS事業者、対策強化が急務
パリ五輪の盛り上がりの裏で、交流サイト(SNS)は選手や審判への誹謗中傷であふれた。言葉のやいばにさらされた選手たちはつらさを訴え、自制を求めるメッセージを発信。識者は「SNSが人をたたくためのツールになり、負の連鎖を呼んでいる」と指摘し、事業者による対策強化が必要と話す。 過去にインターネットで「殺人事件の犯人」とデマを流されたタレントのスマイリーキクチさん(52)は、SNSへの軽率な投稿に警鐘を鳴らす。 大会前半、柔道女子52キロ級の阿部詩選手(24)が敗戦後に号泣すると、「見苦しい」と非難が殺到。スマイリーキクチさんは「批判的投稿を見て『自分と同じ思いだ』と感じ、さらに拡散する負の連鎖が起きた」と語る。 有名人にはひどい言葉をぶつけても構わないとの誤った意識を持つ人は多い。 ネットの問題に詳しい国際大の山口真一准教授(社会情報学)は「昔もテレビの前での罵詈雑言はあった。現在はそうした状況がSNSで可視化され、直接言葉を投げつけることさえ可能になっている」と分析する。