ビギナーの“入り口”をもうひとつ/石川遼インタビュー ゴルフ未来予想(2)
ゴルフの未来を考えるワケ
ゴルフの敷居を、ハードルをもっともっと低くしたい――。賞金を稼いで生計を立てるツアープロである石川が、具体案を示しながらゴルフの普及に本気になる理由。それは少年時代の苦い体験に由来する。 「僕が通っていた小学校(埼玉・松伏小)は当時、全校で1000人以上生徒がいたけれど、ゴルフをやっている子どもが僕と、もうひとりしかいなかったんです。その子も家族でたまに打ちっぱなしに行く程度で、競技ゴルフをやっている生徒は僕だけ。周りから『彼、ゴルフやってるらしいよ』とすごく珍しい感じで見られていた。だから、なんだろう…堂々とできなかったというか」 「小学校4年生の頃、ひとりでキャディバッグを担いで、電車に乗ってゴルフ場に行ったことがあるんです。その時に一緒の車両に乗っている人からの視線がめちゃくちゃ痛かった。(ある)オジサンが『なんでこんな奴がゴルフやってるんだ』とつぶやいた声が聞こえたんですよ。練習場で『大人でないと入れません』と言われて断られたこともある。『若い人がこんなにやりにくい、ゴルフというスポーツをオレはやっているんだ…』って思ったところが結構、いまだに自分のこういう行動に影響を与えている。『これからゴルフはこうあってほしい』と思うのは、自分の経験に基づいているところがあります」 電車の中で肩身の狭い思いをした約6年後、石川遼の名前は日本中にとどろいた。それから10数年が経った今も、同じような境遇にいるかもしれないゴルファーのために戦うことをやめない。