《実は母親と同じくらい多い父親の産後うつ》「妻とは住む世界が変わってしまった」男性育休が進む影で相談できず孤立化…認知されづらい父親の憂鬱
父親の産後うつの発症リスク、母親と同程度
国立成育医療研究センターが、1歳未満の子どもがいるふたり親家庭3514世帯を対象に行った調査によると、メンタルヘルスの不調に陥るリスクのあった父親が全体の11%で、母親の10.8%とほぼ同じ割合であることが分かった。さらに夫婦が同時期にメンタルヘルスの不調に陥るリスクも3.4%に上る。 母親の産後うつはホルモンバランスの急激な変化や育児の疲労などにより、産後2週間~1カ月をピークに発症しやすいとされてきたが、男性の産後うつは産後3~6カ月にピークを迎えることが多いという。 なぜこのようなズレが生じるのか。同センターの竹原健二部長は「父親の産後うつが増えやすいのは、周囲のサポートが減るなど、父親のすべきことが増えたタイミング」と分析する。 「産後1~2カ月は母親が里帰りしていたり、していなくても実母が頻繁に手伝いにくるなど、周囲からのサポートが得やすい時期。ただそれ以降は、夫婦だけで子育てをするようになっていく。 また、生後半年ごろにかけてミルクに切り替えるなど、父親に期待される育児の量や、担える育児の範囲が増えていきます。そこに仕事も重なったりすることで疲弊して具合が悪くなっていく。 父親は母親と比べて家事育児に関わるスタートがどうしても遅くなってしまうので、妊産婦の産後うつのピークよりも遅れて生じやすいのではないでしょうか」(竹原さん) 周囲のサポートが減る中で、子どもの成長とともに、父親のできること、すべきことが増えていき、慣れない育児に仕事の業務が重なると、気づかぬうちに無理をして追い詰められていくケースが多い。 それに加え、子どもが生まれたことによる育児への不安や夫婦関係の変化も要因の一つになる。 「男性がモヤモヤしてしまう理由の一つに、『妻のイライラの原因が分からない』『妻がどんな家事・育児を求めているのかがよく分からない』とパートナーとのコミュニケーションがうまくとれていないことがあります。 家事・育児をしていても『そのやり方は違う』と、妻なりのやり方が決められていることも少なくありません。男性の家事・育児の質や量は妻の評価軸で判断されることが多く、そのことは男性が主体的に家事・育児をしようという意識を持ちにくくする一因になってしまっているかもしれません」(竹原さん) 大切なのは夫婦で一緒に楽しむこと。家事・育児を負担と捉え、それを等分しようと当番制にすると、お互いにストレスが溜まり、余計息苦しさを増してしまう。 お互いが思いあって、気づいたことをやってくれたときに「ありがとう」を言い合える関係性の構築を目指すことが理想的なのではないか。
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