日本の救助犬はなぜ「靴」を履かないの?能登半島の豪雨災害現場でも活動した犬たちの命と安全に関わる「切実な理由」を救助犬団体に聞いた
シンデレラフィットする「活動靴」の研究・開発を
現在、日本の救助犬が活用している「活動靴」などの装備品のほとんどが、海外製の軍用犬や警察犬用のものだ。海外の救助犬や警察犬が靴を履いて活動する姿を見る機会もあるが、海外と日本では被災現場の状況が大きく異なるという。 例えば、高温多湿な日本の場合、被災現場の地面は大量の水分を含んだ泥や瓦礫で覆われていることが多い。そのため、現在の「活動靴」では犬が足元を十分にグリップ出来ず滑落する危険が高い。また、泥などで足を取られた場合、靴が容易に脱げてしまうそうだ。 「災害現場には犬たちにとって危険な物が散乱しており、受傷する犬も少なくありません。バランス保持のためには素足で活動することが望ましいのですが、もし素足のように犬の足にシンデレラフィットする活動靴があるなら、ぜひ活用したいと考えています。 私たちの希望や要望をしっかりと聞いてくださり、お互いに気兼ねなく意見を交わし合える企業様と共に、自分たちの犬に安心して履かせられ、かつ、犬のパフォーマンスを上げてくれる靴を作っていけることが理想です。私たちと一緒に研究・開発してくださる企業様、協力してくださる企業様がいらっしゃいましたら、私どもまでご連絡いただけますと幸いです」(捜索救助犬 HDS K9)
救助犬の出動費は寄付金と自費…災害大国「日本」の厳しい現状
甚大な被害が予想される南海トラフ地震の危険性も高まる災害大国、日本。しかし現在、行方不明者の捜索のため被災地に出動している救助犬団体のほとんどは、民間のボランティア団体だ。 国や自治体などの公的機関からの救助要請であっても、出動に関わる交通費や燃料費などの諸経費はおろか、救助現場で犬やハンドラーが身体的・心的外傷を受けた場合でも、公的な補助や補償は一切ない。
理想の「救助犬用装備」を求めて
捜索救助犬 HDS K9さんによると、人命救助に欠かせない救助犬たちの安全を守るための「活動靴」や「ヘルメット」なども、気候などの条件が大きく異なる海外製の軍用品などに頼らざるを得ないのが現状だという。 近い将来、日本の救助犬たちが安全に活動を行える日本製の「活動靴」が誕生する日が待ち遠しい限りだ。 現在、捜索救助犬 HDS K9では、今後の活動を支えるためのクラウドファンディング「令和6年石川能登地震 捜索救助犬派遣」のネクストゴールにもチャレンジ中だ。 ※令和6年9月21日に能登半島に発生した線状降水帯による大雨洪水によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。一日も早い復旧復興と、被災された皆さまに平穏な日々が戻りますことをお祈り申し上げます。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)
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