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昨夏の決勝から1年 互いの成長見せ合う全力プレー センバツ交流試合

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 甲子園高校野球交流試合第4日の第1試合は、昨夏の選手権大会決勝で熱戦を演じた履正社(大阪)と星稜(石川)が再び顔を合わせ、交流試合随一の好カードと注目を浴びた。結果は履正社が10―1で星稜を圧倒したが、新型コロナウイルス禍など多くの試練を乗り越えてきた両チームの選手たちは、この1年の思いを全力プレーで体現した。 【写真】昨夏の甲子園決勝再現 履正社に軍配  ◇「春夏中止」でも先輩の背中追いかけ 履正社・関本勇輔主将  「先輩たちが勝利し、勝たなければいけない相手だったので安心している」と話すのには理由があった。チームが甲子園を初制覇した昨夏。ベンチ入りこそできたが一度もグラウンドに立てなかった。頂点に立った瞬間、マウンドにダッシュして歓喜の輪に飛び込んだが、一方では冷静に「次は自分たちがチームを引っ張るんだ」と先輩の背中を追う自分もいた。  昨秋、新チームで主将に就任し「全国制覇」を目標に掲げた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、春夏の甲子園大会が中止になり、チームは目標を失いかけた。自分の気持ちを切り替えるので精いっぱい。「成果を発表できる場所があるはず」と自分にも言い聞かせるように部員に呼びかけた。そして決まった交流試合。1試合だけだが甲子園が戻ってきた。  スタメンの「4番・捕手」。昨夏とは比較にならない重責だった。一挙6点を奪い勝負を優位にした二回の攻撃で三遊間を抜く適時打を放つなど、5打数2安打1打点と主軸の役割を果たし、捕手としても強肩で3回の二盗をすべて阻止し、チームを鼓舞した。  優勝した前チームと比べられるプレッシャーはチーム全体にものしかかった。対戦相手も同じで、重圧はさらに強まったが「自分たちは自分たちのカラーがある」と開き直った。従来の強打をさらに強化しながら、盗塁0で優勝した昨夏より走塁や守備を意識して磨いてきた。二回には盗塁や積極的な走塁を絡めて大量得点の流れを作るなど「自分たちのカラー」も存分に発揮できた。  憧れの甲子園。先輩たちと経験した景色とは違ったが「立ちたかった場所に立ててうれしかった」。目を潤ませながら校歌を歌った。【隈元悠太】  ◇「借り返す」悔しさ糧にスイング 星稜・内山壮真主将  「昨夏の甲子園の借りを返す」。そう心に決めて臨んだ履正社戦だった。九回裏、ここまで3打数無安打。「チームのために」と打席に立った。真ん中直球を捉え高く上がった白球が左翼手のグラブに吸い込まれると、悔しそうに苦笑いした。  「守り」の野球で甲子園準優勝を果たした昨年のチームからは一転、今年のチームカラーは「打」。昨秋の石川県大会、北信越大会では打率5割3分を超える猛打で打の星稜を引っ張り優勝に導いた。センバツに加え、夏の甲子園も中止になり、人知れず涙を流したことも。それでも、主将として下を向くことはできない。仲間に声をかけ続けた。「全員で少しずつ前を向こう」  そんな中、交流試合で履正社との再戦が決定。「4番として役に立てなかった」という昨夏の悔しい思いを抱えるからこそ、「借りを返す」と繰り返し宣言してきた。  1週間前に行われた県独自大会の決勝・日本航空石川戦は3打数無安打で、チームの県内公式戦連勝記録も39でストップ。閉会式では帽子を目深にかぶり、うつむいた。甲子園でも4打数無安打と快音を響かせることはできなかったが、強打者らしいスイングを貫いた。甲子園常連校という重圧と常に闘い、楽しむことができなかった独自大会とは違い、交流試合は「プレッシャーを感じながらもそれを(力に変えて試合に)ぶつけられた。野球を楽しむことができた」と試合を終えて少し笑みがこぼれた。「高校野球」の最後を勝利で飾ることはできなかったが、その顔はすがすがしく充実感にあふれていた。【井手千夏】  ◇「逆境でもまとまり」履正社OB・野口海音さん  昨夏、履正社の主将として全国制覇を果たした野口海音(みのん)さん(現・大阪ガス)の話 (後輩たちに)おめでとう、と伝えたい。コロナ禍でセンバツや公式試合が中止になり、選手たちにとっては練習の成果を発揮できない苦しい状況が続いたと思う。逆境のなかで関本勇輔主将を中心にチームがまとまり、宿命の相手との勝負を制した。今年のチームは昨夏の甲子園でともに星稜戦を戦った選手たちが多く残っており、大舞台での経験を生かしてくれたのだと思う。  ◇「本当にお疲れ様」星稜OB・東海林航介さん  昨夏準優勝メンバーの星稜OB・東海林(しょうじ)航介さん(現・東海大)の話 新型コロナウイルス感染拡大の中、本当にお疲れ様と言うしかない。「履正社へのリベンジ」よりも、自分たちのために試合に臨んでほしいと思っていた。選手たちは最後まで楽しむ姿を見せられたと思う。石川県の独自大会決勝や今日の甲子園での負けでいろいろな悔しさがあると思うが、この経験を生かして、一回りも二回りも大きくなった姿を見せてほしい。

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