横浜流星が大河で演じる蔦屋重三郎の魅力と共に、役者としての思いを語る「戦隊シリーズから10年、演技の面白さを知った撮影期間の長い作品への出演に運命を感じる」
横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が2025年1月5日(日)にNHK総合でスタートする。横浜流星は、2014年の「烈車戦隊トッキュウジャー」(テレビ朝日)で注目を集め、連続ドラマ「初めて恋をした日に読む話」(2019年、TBS系)で一躍ブレーク。その後、映画「流浪の月」(2022年)、「ヴィレッジ」(2023年)、「正体」(2024年)など数々の話題作でキャリアと実力を積み重ね、ついに大河ドラマの初主演を務める。 【写真を見る】横浜流星演じる蔦屋重三郎が歌舞伎の見得を切る! 2024年6月に京都でクランクイン、現在も1年半にわたる撮影が続行中。俳優人生の大きなターニングポイントを迎え、2025年はさらなる飛躍が確実視される横浜流星に"蔦屋重三郎"というキャラクターから得ている"チカラ"、そして役者としての思いを聞いた。 横浜が演じる"蔦重(つたじゅう)"こと蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)は、貸本屋から身を興し、その後は書籍の編集・出版業でヒット作を次々と連発。33歳で商業の中心地・日本橋に店を構え"江戸のメディア王"へと成り上がっていく人物だ。 「蔦屋重三郎は今でいう出版社の社長で、プロデュースや営業も自分で担うなどすごく多才。多くの功績を残し、江戸を豊かにした人だと思います。それは、責任感や情の厚さ、挑戦して失敗してもへこたれないメンタルの強さ...といった元々の資質もありつつ、僕は彼の一番の魅力である"自分だけでなく誰かのために動けるところ"も大きかったのかなと思います。そういう人間は強いですし、蔦重のように、僕も誰かのためにも頑張れるような人間でありたいと思います」 他にも、演じてみて蔦屋重三郎にリスペクトできる部分は多いと話す。 「とにかく行動力がすさまじいです。第1回のラストで"絶対的権力者"の田沼意次に会いに行くシーンがありますが、今で言うなら、いち国民が総理大臣に向かって意見を言うようなもの。彼の行動力には毎回驚かされますし、それもやはり、深く掘ったときに見えてくるのは"誰かのために"というところです。人間臭くて情けないところもありますが、みんなが本来"こう生きたい"と思っているような生き方ができる人なのかなと。視聴者の方々の目線にいる人物なので、共感度も高い気がします」 江戸郊外の貧しい庶民の子に生まれ、強烈な格差社会の中でもめげることなく道を切り拓き時代の寵児となった蔦屋重三郎。そのタフさと発想力は現代を生きる人々のヒントとなりそうな部分もある。 「第1回でボコボコにされるシーンがあったり、最初の蔦重はことごとくやられています(笑)。"うまくいかないなぁ"と思います。でも"うまくいかないなら次、それでもだめならまた次"と、くじけない姿は客観的に見てもすごいなと思いますし、あと、彼は周りにもすごく恵まれています。周囲の人をちゃんと見ているからこそ、そこからいつも何かひらめいて、企画が生まれる。"やってみなきゃわからない"というのは僕も大事にしていることですが、どんな向かい風にも負けずに立ち向かう蔦重には背中を押されます」 慣れない所作や言葉遣いなど「苦労していることも多い」と明かすが、全力で蔦屋重三郎を演じる充足感はその表情や口ぶりからよく伝わってくる。 「1年半も同じ役を演じることができるのは、やはり役者としてぜいたくなこと。今は役で、蔦屋重三郎を自由に生きていて、彼の人生は波乱万丈過ぎて心も体も疲れますが(笑)、それもすごく幸せだなと思います。戦隊シリーズ(『烈車戦隊トッキュウジャー』)をやっていたときも1年半ぐらい撮影があって、僕はそこで芝居の楽しさを知り、この世界で生きていこうと決めました。そこから約10年経って、同じように長いスパンの作品ができているのはなんだか運命を感じます。この作品は、派手な刀の戦ではない"商いの戦"を描いていて、スピーディーな展開や喜劇のようなエンタメ要素が入っているところもすごく面白い。いい意味で大河ドラマらしくないドラマになると思いますし、構えて見るような部分が一切ないので、僕と同世代の若い人たちにもぜひ見ていただきたいです」 撮影=大川晋児 取材・文=川倉由起子
HOMINIS