米大統領選のキーワード 「一般投票」「選挙人」「勝者総取り」とは?
いよいよ11月8日(アメリカ時間)にアメリカ大統領選挙の一般投票が行われます。この大統領選挙の仕組みについて改めて確認してみます。(上智大学教授・前嶋和弘) 【写真】<米大統領選>トランプ氏が支持率で猛追 逆転の可能性はあるのか?
11月8日の「一般投票」
8日の選挙ですが、これは「一般の普通の有権者が投票する」という意味から、「一般投票」と呼ばれています。民主党候補のヒラリー・クリントン、共和党候補のドナルド・トランプ、さらには二大政党以外の弱小政党の候補者の中から一人をアメリカ国民が選ぶ選挙です。 一般投票の日は「11月の第1月曜日の後の火曜日」(つまり、1日が火曜日となる日を除く11月の第1火曜日。今年は1日が火曜日だったので、11月8日)と建国直後から定められています。今から考えると時代がかった数々の理由があります。例えば、11月としたのは、当時は農業が主要産業で、11月が農閑期だったようです。火曜日なのは、移動手段がなかった時代だったので、日曜日の礼拝の後に投票所に移動しても月曜日だと到達できないようなケースもあったようで、火曜日となったようです。また、当時は1日に決算が集中したようなので、1日は避けたようです。
昔ばなしはこれくらいとして、現在、一般投票は全米50州と首都ワシントン(コロンビア特別区)で行われます(グアム、プエルトリコ、バージン諸島、北マリアナ諸島、サモアの5つの準州は本選挙には参加できません)。選挙権は18 歳以上の者で有権者登録を行った者に与えられます。 一般投票で、国民は各党の候補者に投票するものの、実際には間接選挙であり、「大統領選挙人」という人たちを選びます。現在の選挙人の数は538人です。これは「50州から選出されている連邦上院議員と下院議員の数(それぞれ定数100人、435人)」+「首都のワシントン市から上院議員、下院議員が選出されたと仮定した数(それぞれ2人、1人)」です。下院議席の数は各州の人口比に近いため、より人口が多い州により多くの選挙人が割り振られている形となっています。メイン州とネブラスカ州を除いて、一般投票で最も多く票を集めた候補者が、その州の選挙人をすべて獲得するという「勝者総取り」となります。人口の多い州で1票でも余分に取るのがポイントです。 それぞれの州が小選挙区となっており、勝利したらその州に割り当てられた数の大統領選挙人が与えられる、という仕組みと考えれば分かりやすいかもしれません。