米大統領選のキーワード 「一般投票」「選挙人」「勝者総取り」とは?
「青い州」と「赤い州」
重要なのが、共和・民主両党の大統領候補の選挙運動は、全米50州を満遍なく、行うわけではないという点です。各州の政治文化の傾向から、間違いなく民主党候補への投票が過半数を上回る州(ブルーステーツ)と共和党候補への投票が過半数を上回る州(レッドステーツ)が最初から分かっており、選挙戦で候補者がほとんど遊説に訪れない州も少なくありません。カリフォルニア州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、ハワイ州がブルーステーツの代表的な州で、今年もクリントンが圧倒的優勢を示しています。南部や中西部の諸州やアラスカ州などがレッドステーツのそれぞれ代表的な州で、今年もトランプが優勢です。 人口が多く下院議員分の大統領選挙人が多いカリフォルニア(選挙人55人)がブルーステーツ、2番目に多いテキサス(選挙の38人)がレッドステーツです(ただ今年の選挙の場合には、これまでトランプはテキサスでの支持を10月末まで固められることができず、苦労していました)。 このように州民の政党帰属性が明確であるため、両党の候補者にとっては、「選挙運動に力を入れなくても最初から勝てる州」「選挙運動に力をいれても最初から負けてしまう州」が事前に分かっています。 候補者にとれば、人口が多く、選挙人の多い州での選挙運動に注目するのは当然です。それもあって、各候補が力を入れるのは、人口が比較的大きく、党派性が明確ではない特定の州に限られています。過去数回の選挙と同じように、2016年選挙の場合、フロリダ州、オハイオ州、バージニア州、ノースカロライナ州、ペンシルバニア州、コロラド州、ミシガン州、ネバダ州などの10ほどの数の「激戦州」が大統領選の雌雄を決めると考えられています。 また、一般投票の得票率と選挙人の獲得数は必ずしも比例しません。そのため、一般投票で第1位とならなかったが、選挙人投票で過半数を獲得して大統領になったケースが過去に3回あります(最近では2000年選挙のジョージ・W・ブッシュ)。