リーゼントボクサーの和気が世界初挑戦!
相手のグスマンは、21戦無敗、全KOという強敵。4月29日に行われた2位決定戦でも、ダリエル・ロサスを何度もダウンさせ、8回にTKOで葬っている。右構えのボクサーファイターだが、左が多彩で強烈。とくに左のフックで試合の主導権を握ってきた。愛称は「ソロモンの大王」。記録だけを見ると怪物だが、世界挑戦の経験はなく、過去21戦の相手の顔ぶれを見ても、そうレベルは高くない。十分につけいる隙はあって、古口会長も「作られた記録のイメージがある。和気のようにスピードとレベルの高いサウスポーとの対戦経験もないようでチャンスは十分にある。勝ちに徹する」と、王座奪取のチャンスあり、と見ている。 和気も、「グスマンが左のフックで始まり終わるというスタイルでくることは自覚している。右のガードをしっかりとあげてフットワークを使い、距離を意識したい。グスマンはサウスポーの経験がないみたいなので、サウスポーの有利さを生かしたい」と、強打を警戒しつつスピードで支配するイメージを持っている。 岡山の不良少年だった和気は、岡山商科大付属高校時代に、協栄のトレーナー時代には鬼塚らを育てた古口会長にインターハイの会場でスカウトされ、2006年にプロデビューした。2013年には小国以載を倒してOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王座を獲得し、戦績は26戦20勝(12KO)4敗2分。4つの負けを経験するなど、決して順風満帆なボクシング人生ではなかった。 「中学ではヤンチャして警察のお世話になったこともあった。挫折も何度も味わった。その度にボクシングを辞めようと思った。でも、いろんな人に手を差し伸べてもらった。親父の言葉もあった。あきらめなければ 夢が叶うことを世界王者になって伝えたい。親父への最高の親孝行にもなる」 引退を考えたとき、全試合に応援に駆けつけてくれている父親から「おまえの試合を見ることが生きがい。だから辞めないでくれ」と説得された経験があるという。 「大阪は故郷の岡山にも近いので、たくさんの人が応援に来てくれると思う。それも運。ここまで長い間、世界戦が決まらなかったが、その時間を利用して倍以上の練習ができた。逆に運が良かったと考えたい」 6月20日には、協栄ジムのサポートで、フィリピンのローカル王者のジョナス・スルタンら、グスマンタイプのスパーリングパートナーが来日、世界戦にむけての本格実戦練習をスタートさせる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)