いわゆる多重人格、悪夢、赤ちゃん返り……子どものトラウマのさまざまな現れ方
「つながり」が悪くなることで起こる、さまざまな解離症状
●1次解離 衝撃的な体験をしたときの状態が残ってしまい、他とつながりにくくなると、さまざまな解離症状が起こります。「まとまりのある自分」が出来上がった大人でも、特定の状態がスパッと切り離されることはありますが、しっかりまとまる前の子どもは、いっそう切り離しが起こりやすくなります。 ・フラッシュバック……解離された体験や心身の状態が、突然よみがえる現象ととらえられる ・離人感……身体や心から自分が切り離されたような感覚が持続的または反復的にあり、自分を外から観察しているように感じる ・現実感の消失……自分が外界から切り離されているように感じる ・解離性健忘……トラウマにかかわる出来事について重要な側面を思い出せなかったり、その出来事が生じていた一定期間の記憶が抜け落ちたりしているように感じる。後年、急にすべてを思い出すこともある ●2次解離 発達期につらい体験が重なると、そのときどきの状態と、他の状態とのスムーズな移行ができなくなってしまいます。これを2次解離といいます。特定の状況下で引き金をひかれると、そのどれかが優勢になり、怒り続けたり、フリーズしたまま動けなくなったりするなど、状態間で調節できなくなります。 ●3次解離 つながりの悪い状態どうしの葛藤が強く、それぞれの存在を認めあえないと、状態間の壁(解離障壁)が分厚くなり、お互いがお互いを認識していない解離性同一性障害(いわゆる多重人格)になります。解離の究極のかたちです。 〈暴力だけじゃない。子どもへの虐待4つの類型と、その見分け方〉へ続く
白川 美也子(精神科医・臨床心理士)