日本の格付け当面安定、利上げの影響は注視=S&Pマネージングディレクター
Tetsushi Kajimoto [東京 24日 ロイター] - 米格付け会社S&Pグローバル・レーティングのマネージングディレクター、キムエン・タン氏は大規模な補正予算を編成した日本の格付けについて、当面変更はないとする一方、日銀による利上げが経済に与える影響には注視する必要性があるとした。 タン氏はロイターとのインタビューで、「(日本の格付けに)安定的な見通しを持っている」と説明。「つまり、今後1─2年は格付けが維持されると予想していることを意味する」と語った。一方で、何らかの危機が起きる場合に備えて「財政余力」を蓄えておくべきとも述べ、そのための財政再建を進める必要があるとした。 石破茂政権は今月、一般会計総額13兆9000億円の補正予算を成立させた。少数与党として野党に配慮を重ね、規模が膨らんだ。2025年度予算案も7年連続で100兆円を超える見通し。一方で日銀が今年3月に利上げを開始し、日本で20年ぶりに「金利のある世界」が復活した。 市場関係者の間では、拡張的な財政政策と金利の上昇で日本が格下げされる可能性を懸念する向きもあるが、日本経済が着実な回復軌道に乗っている限り、格下げは当面ないだろうとタン氏は指摘した。同時に、日銀の利上げによって起こりうる経済の振幅が主な懸念事項だとした。 「日銀は約20年ぶりに持続的な利上げに向かっており、我々は経済がそれにどのように適応していくのか注視しなければいけない」と述べた。 S&Pは今年3月、日本の格付けをAプラスで据え置き、見通しも「安定的」とし、他の主要格付け機関とほぼ同水準を維持した。 *インタビューは20日に実施しました。