今井美樹 初めて愛車について語る 幼少期の思い出が詰まった“ワーゲンバス”は今も現役
ワーゲンと、青空と、オスカー・ピーターソン
今井さんは、タイプ2のソファに腰掛けてインテリアを見渡しながら、「宮崎の実家にはいつも2台のタイプ2がありましたね」と、懐かしそうに語った。 「実家は、祖父から父が引き継いだときには家電も扱う街の電器店だったらしいのですが、父の代になってからはオーディオ専門店になりました。父はクルマも大好きで、キャンピングカーのタイプ2と、配送用のバンのタイプ2がありました。配送用にはボディに彼が“イマイ”をデザインしたロゴが入っていました。お店の前に置くから宣伝にもなっていたんでしょうね。配送用のバンは部品取り車でもあって、ちょこちょこ直しては、またどこからか新たな中古のバンが来ているという感じ。でもキャンピングカーはとても大事にしていました」 父上のクルマ好きはかなりのもので、所有していたクルマは今井さんも「すべては思い出せない」と、苦笑いする。 「写真を見ると(フォルクスワーゲン)赤の『カルマンギア』もあったし、カフェオレ色のシトロエンの『GS』を大事に乗っていた時期もありました。そうそう、クサビ型のいすゞの『ピアッツァ』は近未来のクルマみたいで格好よかったですね。ホンダも大好きで、『(ライフ)ステップバン』も大切にしていました」 いろいろなクルマがあったなかでも、最も思い入れのあるのはキャンパー仕様のタイプ2だったという。 「ワーゲンがやってきたのは、私が小学1年生の頃かな。よく覚えていないですが(笑)、毎年4月の第1日曜日から、10月の最終の日曜日まで、日曜日は必ず海へ水上スキーに出かけていました。いとこの兄弟と私の3人が後ろに乗って、トレーラーに乗せたモーターボートを牽引して。こう言うと、子どもたちのためみたいに聞こえるかもしれませんが、自分達大人が遊びたかったんですよ(笑)。いつもオスカー・ピーターソンの『ガール・トーク』というアルバムがカーオーディオでかかっていて、だから私の中ではワーゲンと、青空と、オスカー・ピーターソンがセットになっている感じです。週末は本当に楽しみだったんですけど、中学生になると部活で忙しくなり一緒に海には行けなくなったので、父は一緒に遊んでくれなくなったと言っていました」 今井さんの父親は、DIYでタイプ2をカスタマイズして楽しんでいたという。オリジナルでは備わっていなかった水まわりを整えたり、クーラーを付けたり。冒頭に、6Vを12Vに切り替えたというエピソードが出てきたけれど、それを覚えているのは、嬉々として説明する父親との時間を一緒に楽しんだからだろう。