【オーストラリア】カタール航空、ヴァージン権益25%取得へ
中東のカタール航空は1日、オーストラリアの航空大手ヴァージン・オーストラリアの株式25%を、同社親会社で米投資ファンドのベイン・キャピタルから取得すると発表した。買収額は非公開。ヴァージンの長距離国際線を強化し、オーストラリアでの競争力向上を図る狙い。オーストラリア各紙が報じた。 買収には外国投資審査委員会(FIRB)の承認が、協定に基づく新路線の就航にはオーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)の承認が、それぞれ必要となる。 ヴァージンは乗務員や航空機などを貸し出す「ウエットリース」契約の下、カタール航空の機体を使用し、シドニー、メルボルン、ブリスベン、パースとカタールの首都ドーハを結ぶ路線の就航を提案しており、向こう5年間でオーストラリアに30億豪ドル(約3,000億円)の経済効果をもたらすと説明している。 2社はまた、「この協定によりヴァージンの規模が拡大し、競争促進、雇用促進、運賃引き下げにつながる」と強調。国際線の強化によるロイヤルティープログラムの向上も見込まれている。 昨年、オーストラリア連邦政府はカタール航空の増便申請を却下しており、競合カンタス航空もカタール航空の発着枠の拡大に反対していた。 ヴァージンは新型コロナウイルス流行時の2020年に破綻し、同年にベインが買収した。破綻以来、国際線数を削減していた。昨年にはオーストラリア証券取引所(ASX)への再上場を目指していたが、計画は現在まで延期されている。 ■REX買い手なし オーストラリアの地方航空REXが破綻して数カ月たつが、いまだに買収案が出ていない。関係者は全国紙オーストラリアンに対し、「利益が上がる事業なのに買い手が現れないのは意外だ。政府が何らかの形で介入するのを待っているのかもしれない」と述べている。