小池都知事の定例記者会見9月30日(全文1)盛り土なしを決定したプロセス
なぜ都議会、都民等への説明責任を果たさなかったのか
次に2点目の、なぜ都議会、都民等への説明責任を果たしてこなかったのかという点でございますけれども、都議会への答弁で、全体に盛り土と表明してきたことの原因については組織運営上の問題に行き着くと言わざるを得ません。具体的には土壌汚染対策を担当する土木のセクションと、それから建物管理を担当する建築セクションとの縦割りによる連携不足があるということと、市場長など管理部門のチェックもなされていなかったということで、そして、そういう管理、縦割りの中で、で、答弁は前に使った答弁をそのまま活用してしまったという話でございまして、非常に遺憾、残念な流れがここで見られるということであります。 いずれにしても事実と異なる答弁を行っていたことは明白でございまして、結果として都議会そして都民、さらには市場関係者の皆さまに対しての説明責任を果たしたとは残念ながら到底いえないということになります。 それでホームページに掲載し続けてきたわけでございますけれども、その誤った図について専門家会議、当時からの土壌汚染対策を説明する、いわば概念図をずっとそのまま使用してきたという話でございます。誰も気付かなかったというか、情報公開してたよね、ということで、そのあとのチェックさえなされていなかったという恥ずかしい状況でございました。それによって都民、市場関係者に誤解を生じさせる恐れがあるということは当然、本来ならば予見できたはずでございますけれども、これについても都民に対する説明責任、まったく果たしていないと言わざるを得ないわけでございます。 以上、主な2点について申し上げたわけでございますけれども、やはり業務を把握すべき立場の歴代の市場長がおります。そしてそれと都民、業界の方々などに説明していた、この盛り土をしないということを知らずに決裁を行ってきたという話。それから安全対策に関わってきた方々に対して、これは平田先生をはじめとして環境に関する専門家会議がございますよね。それ一度、もう閉じていたからということもあるんでしょうけれども、その歴代のその部署の引き継ぎなども、いい加減であったということだと思います。 ですから、そういう過去の流れというのをチェックもせずに、そのまま進めてきてしまったということでございまして、企業で言うならばまさしくそういった情報の共有、そしてコンプライアンスが欠けていたと言わざるを得ないというのが正直なところでございます。また事実と異なる答弁をしていながらも組織の誰からも、あれ、おかしいなという、いわゆるヒヤリ・ハットとか、あれ、おかしいって誰もがそれに対して異論を唱えなかったということでございます。 一言で言えば今回の事態を招いた最も大きな要因というのは、ガバナンス、責任感の欠如ということになります。加えまして、先ほど申し上げました前の答弁をそのままコピーするといったような点、それからチェックが不足している点、さらには意思決定プロセスが不備であると。それから上司と部下の間、土木と建築の担当、そしてあるいは技術職と事務職といった職種間での連携の不足、そういった点が挙げられると思います。1人、個人の問題もありますでしょうが、一言で言えば組織運営上のシステムの問題ということもございますが、だからこそむしろ問題なのだと私は思っています。だからこそ都政大改革なのだというふうに思っております。 都庁は伏魔殿でしてね、と評論家のように言っているわけにはいきません。ですからここはしっかりと改革を進めていって、このような事態が起こらないように何をするかという意味で、今日のここで、ご報告させていただきました、この検証については、まずは自ら何がどうなっていたんだっていうことを検証した、その報告書ということでございます。 そして今回の調査、職員自らの手で行ったこと自体については、私は一定の評価をいたしますけれども、しかしながらこれが十分かというと十分ではありません。そしてまた市場の担当の部門だけで完結しているようなところがございますけれども、しかし、いろんなこれまでの方々、関係しておられた方々等々、もっとヒアリングも重ねていかなければならないと思いますが、そういう個人の問題と、それから組織としての問題と、さらに深掘りをすることによって東京大改革という私が掲げている大きなテーマというのが一歩でも前に進むのではないかと、このように思っております。 よって今回この報告書をもって終わりとするというのではなく、さらに、この特にシステム的な問題を精査していくということからも、昨日、都政改革本部のほうで情報公開調査チームの検討状況のところで、お知らせをいたしたんですけれども、情報公開調査チームがこれから公益通報制度を設けるということを今、準備をしている、その旨、ご報告させていただきました。 公益通報というのは職務遂行上の法令違反を通報する制度。ホイッスルブロワーという言葉があります。笛を吹くっていうことでありまして、一種の内部告発であります。一種のというか、そのものでありますけれども、これのシステムを現在整えているところでございます。匿名、実名どちらもオッケーという形で、そしてまたその通報の仕方については、今、形というか受け皿を整えているところでございまして、弁護士事務所になる予定でございます。これ、また整え次第ご報告することになるかと思います。 これまでの通報制度というものは、すでに公益通報者保護法に基づいて実施もされています。つまり内部告発者がそれによって不利益を受けないと。あいつが言い付けたんだ、みたいな形で結局、組織から阻害されるということのないようにするための法律でございますけれども、これはすでに実施はされているところでございますけれども、より情報を出しやすくために工夫をしている最中であるということでございます。