巨人・川相昌弘内野守備コーチ

【球界ここだけの話】阿部巨人に「継続は力なり」をたたき込んだのは川相昌弘内野守備コーチ（60）だ。16日のDeNAとのクライマックスシリーズ（CS）ファイナルステージ初戦では腰痛から復帰し、〝定位置〟の一塁ベースコーチとして帰ってきた。 【写真】川相コーチのノックを受ける坂本 リーグ優勝目前の9月25日のDeNA戦で腰痛のために戦列を離れたが、CS前の練習期間からグラウンドに戻った。回復具合を尋ねると「（孫のいる）ジィジだけど、まあまあ（ママ？）」と得意のダジャレで笑わせ、「もう大丈夫。ほぼ治りました」と、元気にノックを打っていた。 川相コーチがファンの間で話題となったのは優勝を決めた9月28日の広島戦（マツダ）。阿部監督を胴上げした歓喜の輪で、主将の岡本和が泣いた。この場面について丸が「川相さんが泣いている姿を見た和真（岡本）が泣いていて、それを見てちょっとうるっとしちゃった」と語った。岡本和も10月11日に開催された優勝祝賀会の壇上で受けたインタビューで打ち明けた。 「川相さんを見たら涙が出てきました。川相さんにもたくさんノックを打ってもらいましたし、2軍にいた頃からみんなは特守（守備練習）が3人1組なのに、僕は1人。めちゃきつかった思い出もある。特別な気持ちがあった」 若手時代から川相コーチと取り組んできた地道な基礎練習。時に厳しい師匠と反復練習に明け暮れた記憶が、涙となって頰を伝ったようだ。 阿部監督も、その存在のありがたみを語っていた。優勝後に報道陣と今季を振り返っていた指揮官は、7月の阪神戦（甲子園）に敗れた際に「完敗したから乾杯して寝ます」と試合後会見で繰り出した名言？について思い出し、「それは確実に（ダジャレ好きの）川相さんの影響だな」と回想した。 そこから川相コーチの貢献について、「満身創痍（そうい）で毎日しつけえぐらい（指導を）やってくれてさ。その成果だと思う。今の方々（選手）は俺が言った『継続』とかが一番できないのよ。ああいう人（川相コーチ）がいたからこそ（浸透した）」と感謝した。春季キャンプでのノックやグラブさばきの特訓を毎日ナインに課していた指導が、阿部野球を支える鉄壁の内野陣を作り上げた。 川相コーチは「動きを体にしみ込ませることが大事。それを選手に理解してもらうのが役目だと思ってやってきた」と自認する。効率化が叫ばれる現代に、継続と反復のの重要性を伝え続ける。（谷川直之）