藤原季節、学生時代は「自分の居場所がなくて」 演劇に出会って得た“気付き”
“ユートピア”は「家」
本作は、ホテルから出られなくなった12人の人間たちが「非暴力、不干渉、相互扶助」の三原則のもとで平和に暮らす中、1人の人物が遺体となって発見されたことで、12人のユートピアが揺れ動くという展開だが、自身の“ユートピア”は「家」と即答する。 「東京という土地の中でドアや窓を閉め切ったら、僕しか存在しない空間になるので何をやってもいいわけですよ。それって、めちゃくちゃユートピアだなと。稽古も家でやりますし、断絶された自分だけのプライベート空間みたいなのは大切だなと思いますね」 さらに「現実を生きた先に理想があるので、理想と現実が別のものだとは考えていない」と断言する藤原。「自分が生きているその場所が、まさに自分に見合った“現実”だと思っています。その“現実”をどれだけいいものに引き上げられるかが大切で、少しずつでも変えるということを積み重ねていけば、“理想”に近付くんじゃないでしょうか」と語った。 「理想のためになにかを捨てることになったとしても、僕はリスクを背負った生き方が好みです。なにもリスクを抱えていない物事・人に対しては、僕は心が動かないので。どの選択をしたら自分が自分を好きでいられるかを考えた結果、リスクがある方を選ぶようになりました。そうなったのはこの仕事を初めてからですけどね」と常にリスクのある方を選択することで、理想を現実へと近付けていく。
水谷賀奈子