岩手で「国公立大」の野球大会初開催 “盛岡三コンビ”躍動した岩手大が初代王者に
決勝打の駒井は最優秀選手賞、6回1失点と好投した杉澤は優秀選手賞を獲得。二人は盛岡三時代からの同期だ。駒井は主軸を打つ正遊撃手、杉澤は最速142キロの速球を武器に持つリリーフ右腕として活躍した。
駒井が杉澤について「いいピッチャーなんですけど、大会になるとメンタルが崩れてしまいがちなので、(三塁の守備位置から)しっかり声をかけた。今日はいいピッチングをしていて頼もしかったです」、杉澤が駒井について「高校の時から勝負強い場面でいつも打ってくれていたので、今日も打ってくれると思って見ていました」と語るように、互いを熟知している。
昨夏は花巻東に大敗、大学で「打倒・私立」の続きを
発起人の菅は大会前、「高校生の頃から『私立に勝ちたい』という思いで野球をやってきた」と話していたが、駒井と杉澤も県立校で「『打倒・私立』で甲子園出場」を掲げてプレーしていた。 高校3年だった昨年は、春の東北大会で八戸工大一(青森)、日大山形(山形)の両私立校を破り、公立勢で唯一の4強入り。夏の岩手県大会も白星を積み重ね、甲子園出場こそかなわなかったものの準優勝を果たした。
ただ、夏の決勝は佐々木麟太郎内野手(現・スタンフォード大)擁する花巻東に0-10で大敗を喫したことから、喜びよりも悔しさが勝った。駒井が「走攻守すべての面で差を感じた。すべてが公立校よりも一段階上だった」と振り返れば、杉澤も「最後にハナトウに負けて甲子園に行けなかったので、今でも私立に負けたくない気持ちは強いです」と力を込める。 岩手大硬式野球部には、盛岡三から二人のほか、この日の決勝で先制打を放った阿部蒼流外野手(1年)、ベンチ入りした古舘翼内野手(1年)も入部した。四人で高め合いながら、再びの「打倒・私立」に向け汗を流している。
「なんとしても勝って、自分たちが国公立大では絶対一番上にならないといけない」(駒井)、「優勝という目標ができていつも以上に練習に熱が入った」(杉澤) 今春のリーグ戦はドラフト候補を多数擁する富士大に土をつけるも最下位に沈み、入れ替え戦も負け越して2部降格が決まった。チーム全体で落ち込む時期もあったが、今大会がモチベーションを立て直すきっかけになった。優勝をはずみに、秋は「即1部昇格」を目指す。