92歳見守り隊員「卒業」 通学路に発足から20年以上 新竪町地区・森田さん「元気もらった」
金沢市新竪町地区子ども見守り隊の最高齢隊員、森田孜(つとむ)さん(92)=幸町=が、2学期の終業となる25日をもって引退した。隊の発足から20年以上にわたり、平日は毎朝通学路に立ち、児童の安全な登校を支えてきたが、体力の衰えを感じて引退を決断。この日は児童だけでなく通勤途中の住民からもねぎらいを受け、「毎朝子どもから元気をもらって続けてこられた。満足して卒業や」と目を細めた。 新竪町地区の見守り隊は、2001年の大阪教育大付属池田小児童殺傷事件を受けて事件翌日から大浦小校下で始まった見守り活動を見習い、数年後に発足した。森田さんは銭湯を経営する傍ら、30代から地区の防犯委員や少年補導員を続けており、隊に加わった。 森田さんの見守りの定位置は、交通量の多い鱗町交差点だ。地下道の出入り口そばで、毎朝午前7時ごろから約1時間、通学路に立ち「根っからの子ども好きやから、ハイタッチや何げない会話も楽しかったね」と振り返る。 19年には旧新竪町小が旧菊川町小と統合して犀桜小が誕生した。通学路が変わり、鱗町交差点を通るのは5人ほどに減ったが「どんなに子どもが少なくても、通学路におってやらんと安心して通れんでしょう」と活動をやめなかった。 引退は足腰が弱くなり、歩きづらくなってきたことから決断した。今月に入り、終業式の日を区切りと決めると、聞きつけた児童や住民がねぎらいに訪れ、24日夜には、犀桜小を卒業した中学生がお礼の手紙とケーキを持って自宅を訪ねてきたという。 25日もいつも通り「おはよう。行ってらっしゃい」と声を掛けて児童を見送り、駆け寄った児童と握手をして別れを惜しんだ。森田さんは「見守った子どもたちに大きい事故がなく、活動を終えられて良かった。気が向いたら、たまには通学路に顔を出そうかね」と笑顔を見せた。