シグネチャーは昆布の味を堪能する一皿!? 名店出身料理長が挑むのは“瞬間を楽しむ料理”!!!
「御凌ぎ」は北海道利尻の昆布漁師から直送された蝦夷鮑と米を炒めて出汁をたっぷり吸わせた和風リゾット。仕上げに加える鮑の肝がコクを、鮑の煮汁が味に深みを与えます。
「御造」は船上で締めた氷見の迷い鰹と淡路市岩屋港で獲れた鯛。6kg超えの鰹は鮪の中トロ並みのやわらかさに加えてねっとり感も。皮目だけを湯煎し、身と同等のやわらかさに仕上げた鯛は弾き返されるような食感も持ち合わせ、鮮度の高さが感じ取れます。ツマにした大根はオリーブオイルと酢橘で味をつけてサラダ感覚に。
「煮物椀」の椀種は和歌山寄りの港で獲れた淡路の白甘鯛で、身の繊維が細かくしっとりとしています。白眉は出汁。天然真昆布と枕崎の一本釣りの鰹で作った鰹節から水出しした“昆布鰹節水”を水の代わりに使い、沸騰したところに昆布、さらに鰹節を入れた出汁は、口にすると身体中の細胞が覚醒するかのよう。なんと美味なる出汁なのでしょう。どんな賞賛の言葉さえも値しないほど感動的な味わいです。
続いては「揚物」。こんな状態の河豚、見たことがありますか? 漁師が非可食部分だけを除き佐々さんの元に届けた河豚は唇も皮もついた状態。
そこから食べやすい大きさに切り、揚げる直前に10秒ほど醤油漬けした河豚は、口にした瞬間しっかり味がしみているように感じますが、中は河豚本来のうまみを味わえます。「山椒を少しつけるとさらにおいしいです」と佐々さん。「とおとうみ(皮と身の間にあるゼラチン質を多く含んだ皮膜)」をつけたまま揚げるので、トゥルトゥルだったり、プリンプリンだったりと食感のコンビネーションも楽しい! 「料理は香りと言われていますが、僕は食感をより大切にしています」と言う佐々さんならではの唐揚げです。
メインディッシュは炊き立てご飯! 数十秒ごとの味の変化に目を見張る!
ご飯は2種類の米を炊きます。昔は主流だった「ササニシキ」は現在ほぼ手に入らなくなってしまったそうで、こちらも3カ月限定。「とにかく軽いので〆ご飯にいい」と佐々さん。