FIFPro欧州支部らがFIFAに異議申し立て…過密日程に関し「支配的地位を濫用」と声明
国際プロサッカー選手協会(FIFPro)は14日、欧州33カ国のリーグの統括団体「欧州リーグ」とともに国際サッカー連盟(FIFA)に対して異議を申し立てたことを発表した。 欧州サッカー連盟(UEFA)は今シーズンよりチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)、ヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)のフォーマットを大幅に変更。出場枠の拡大やリーグフェーズ制の導入に伴い、参加クラブの試合数は増加することに。さらに、来夏には32チームが参加するFIFAクラブワールドカップも予定されており、欧州の強豪クラブに所属する選手たちは代表戦も含めてかつてないほどの過密日程を強いられている。 こうした現状に対し選手たちからは苦言が相次いでいる。マンチェスター・シティ所属のスペイン代表MFロドリは、ストライキの可能性を示唆しつつ「本当に心配だ。苦しんでいるのは僕たちだ」と言及。バルセロナ所属のフランス代表DFジュール・クンデやアーセナル所属のオランダ代表DFユリエン・ティンバーもこの発言に同調しており、リヴァプール所属のブラジル代表GKアリソンも「試合数が増えることについて僕たちがどう思っているかはみんな理解している。うんざりしているんだ」と明言した。 トッテナム所属の韓国代表FWソン・フンミンやレアル・マドリードを率いるカルロ・アンチェロッティ監督も警鐘を鳴らすなか、FIFProの欧州支部および欧州33カ国合計39のリーグを統括する団体「欧州リーグ」が、過密日程の是正に向けた動きを開始した。発表によると、両団体はFIFAによる国際試合日程の拡大が欧州連合(EU)の競争法に違反しているとして、欧州委員会に異議を申し立てたとのこと。また、「欧州リーグ」のメンバーではないラ・リーガも訴訟に加わっているようだ。 FIFProは、FIFAが統括団体と大会主催者の双方を担っていることで利益相反が生じており、カレンダーの作成に関して選手や各国リーグとの正当な手続きや関わりを欠いていると指摘。選手やリーグを犠牲にし、商業的利益のために試合日程に関する決定を強制することは支配的地位の濫用にあたるとしている。 FIFProは声明のなかで「国際サッカーのカレンダーが飽和状態にあることで、選手の安全と健康は危険に晒され、ヨーロッパや世界中のファンが何世代にも渡り楽しんできた国内大会の経済的および社会的持続可能性が脅かされている」と強調した。 なお、試合数の増加はクラブレベルだけには留まらず。欧州では2018年にUEFAネーションズリーグ(UNL)が創設され、出場枠が「48」に拡大したFIFAワールドカップ26では大会全体の試合数がカタール大会までの64試合から104試合に増加することとなっている。
SOCCER KING