命をも左右……避難を遅らせる「正常性バイアス」 濁水が迫っても「死ぬわけない」“自分は大丈夫”のワケ【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN
災害などで危機に見舞われる可能性があるのに、「自分は大丈夫だろう」と思い込んでしまうことはないでしょうか。誰もが持っているこの「正常性バイアス」は、避難が遅れる原因とされています。実際に起きたケースや、陥らないための取り組みを紹介します。 そこで今回の#みんなのギモンでは、「避難ためらう 正常性バイアスとは?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。 ●無意識に? 「大丈夫」と思うワケ ●陥らないために新たな取り組みも
■「自分は大丈夫だろう」の思い込み
小野高弘(日本テレビ解説委員・調査報道班) 「各地で今、大雨で大変なことになっています。災害が起きる危険も高まっています。ここ数年、今の季節に数多くの災害が起きてきました。だからこそ目を向けてほしいのが、命を左右しかねない正常性バイアスです」 「私たち誰もが持つ感覚です。例えば、大雨災害の危険がありテレビで避難指示を伝えている、自治体の防災無線で避難を呼びかけているのに、『自分は大丈夫だろう』と思い込んでしまう場面。身に覚えないでしょうか。避難が遅れる原因とされています」 刈川くるみキャスター 「正常性バイアスという言葉は知りませんでしたが、この感覚は分かるなとドキッとしました」 忽滑谷こころアナウンサー 「自分は大丈夫だろうと思ってしまいがちなのは、分かります」 森圭介アナウンサー 「こういった災害もあれば、泥棒が入ってくる、地震が起きるなど、いろいろなことに対して正常性バイアスが働くんですよね」
■西日本豪雨で、避難を渋る父親の姿が
小野解説委員 「実際の例を見てみます。令和元年版の防災白書によると237人が亡くなった、2018年7月の西日本豪雨。岡山県倉敷市真備町に住む丸畑裕介さんが撮影した映像には、避難をためらう父親を説得する様子が映っています」 「映像では、濁った水が玄関まで迫ってきています。水が町の中まできて、自治体からは避難情報が出ています。丸畑さんは声を荒らげて説得しますが、父親はかたくなに避難しようとしません」 丸畑さん 「早く逃げよう」 父親 「死ぬわけないから」 丸畑さん 「そうやって言って何人死んでるの今日!」 父親 「死ぬわけない。崩れるわけない」 丸畑さん 「水まだくる」 父親 「くると言っても土手越えるわけない」 丸畑さん 「全員もう逃げてる。みんなと違う行動するのが一番危ない。基本は逃げること」