「メディア事業への認識が甘かった」DeNA社長が謝罪会見
運営する10のキュレーションサイトすべてが非公開に追い込まれたディー・エヌ・エー(DeNA)。記事内容の不正確さや記事の無断転用などが指摘された。なぜこうした事態に陥ったのか。3時間超に及んだ7日の会見で、守安功社長は「成長を追い求めすぎる過程で、正しい情報への配慮を欠いた」と反省の言葉を何度も口にした。 【中継録画】WELQなど全10サイトを非公開に DeNAが記者会見
SEOの手法は重視してきたが
守安社長は今回の問題について、詳しい原因は第三者委員会の結果を待つことになるとした上で、現時点で2つの要因を挙げた。一つ目は経営面での問題。DeNAはキュレーションサイトに参入する際、インテリア情報サイトの「iemo(イエモ)」、ファッション情報サイト「MERY(メリー)」を買収したが、スタートアップ企業が持つスピード感などの良さは失わずに、一部上場企業としてしっかりとした会社体制も構築して、そこのバランスを取りながら事業成長させていくことができなかったと説明した。もう1点は、メディア事業への認識の甘さで、「著作権への配慮や質の担保など、メディア事業をつくることに対する認識が私自身不足していた」と反省を述べた。 質の低いコンテンツを大量生産して広告費を得る「コンテンツファーム」がアメリカで問題になった。それとの類似性について、守安社長は「われわれも当然SEOの手法を重視して取り組んできたが、グーグルのレギュレーションを逸脱して(表示)順位を上げようといったことは考えていない」と否定した。 ライターへの発注額の低さも報じられた。コストを圧縮し、利益を追求する姿勢が今回の問題の背景ではないかとの問いに対しては、参入当初はイエモならインテリア好きの人が仕事を続けながら書いたり、メリーならライター志望の女子大生が書いたりするなど、喜んで記事を書いてくれる人たちがいるという認識だったという。 ただ記事本数を増やしていく過程で「どういう方がどのようなモチベーションで、その対価をどう感じて記事をつくっていたかは正直分からないところがある。記事自体が適切な作り方だったのか、内容の正確性を含めてしっかりチェックできたのか。編集体制の不備が課題だと考えている」と述べた。 今回の問題をきっかけに「キュレーション」という手法自体への批判も出ているが、それについて守安社長は「ネットメディア自体のあり方が問われてきている。どう運営していけば信頼できるメディアとして運営していけるのか」と体制づくりの必要性を強調した。 (取材・文:具志堅浩二)