元人気セクシー女優が選んだセカンドキャリア「性感染症で悩む人たちに正しい情報を届けたい」
性感染症はアダルト業界だけの問題ではない
――医院長は吉岡さんのキャリアをどのように活かしてほしいと思っていますか? 三並医院長:キャリアを売りにしてほしいというつもりはありません。それよりも、吉岡さんが今やっている営業や経営の能力を活かしてほしいです。前職がどうとかにこだわることはないです。 吉岡:先生は、私が今どんな仕事をしているのかをちゃんと見てくれています。 ――それは素晴らしいことですね。吉岡さんは今、具体的にどんな仕事をされていますか? 吉岡:営業と広報を担当させていただいています。 ――セクシー女優のライブイベントでブースを出してPRされているのを見ましたが、今後もそのような活動を続ける予定ですか? 吉岡:当初はアダルト業界に広めたいと思っていましたが、広めすぎると「アダルト業界だけのもの」と思われてしまうんです。「元セクシー女優が性感染症クリニックに就職!」なんて書かれると、興味を惹かれますが(笑)。 ――確かにそういうテーマになりがちですね。 吉岡:でも、そういった見出しだけが目立ってしまうと、「性感染症=アダルト業界の問題」という誤解が広まってしまいます。本当に性感染症で悩んでいる人たちに正しい情報を届けたいので、私の前職に依存せず、なるべくそこに焦点を当てない形で情報を発信していくべきだと思っています。 ――逆説的にそれはすごい発想ですね。 吉岡:アダルト業界にはもちろん情報を届けたい気持ちはありますが、今はそこではないかもしれないと思うこともあります。ただ、何が正しいのかはやってみないと分からないので、医院長の意向やみなさんの意見を聞きながら調整し、情報を届けるのが私の仕事だと考えています。
大流行中の梅毒、対策はどうするべきか?
――最近、梅毒が流行していて、NHKの報道によれば、年間の感染者数が10年で12倍に急増し、2023年には3年連続で過去最多となりました。何が原因で広がっているのでしょうか? 吉岡:感染ルートは検査では分からないので、はっきりした原因は不明です。 ――そうなんですね。 吉岡:NHKの記事では、マッチングアプリが一因かもしれないという説もありましたが、結局のところは分かっていません。 三並医院長:いろいろな説があるんですが、決定的な感染源は見つかっていないんです。過去にはクラミジアが増加したこともありましたが、その理由も実際のところよく分かっていません。感染が広がっていることは事実なので、検査をし、治療で抑えることが大切だと思います。 ――感染源を断つよりも、感染した人を治療することが重要ということですか? 三並医院長:そうです、その方が現実的です。 吉岡:簡単に言うと、全員が一斉に検査を受けて治療をすれば、梅毒は消えるんです。 ――なるほど。 吉岡:ですので、定期的な検査が効果的です。 ――梅毒に限らず、性感染症を予防する有効な手段は何でしょうか? 吉岡:コンドームを着けることや、不特定多数の人との性行為を控えることですかね。 三並医院長:基本はやはりコンドームの使用ですね。 ――キスやオーラルセックスでも感染することはありますか? 三並医院長:あります。 吉岡:キスでは性感染症は感染しないと思っている人が多いですが、実際にはキスやオーラルセックスでも感染します。性行為中にコンドームを使っていても、オーラルセックスでは使わないことが多いですよね。 ――性行為を楽しむためには難しい部分もあります。 吉岡:だからこそ、検査を受けることが重要です。検査は絶対ではありませんが、安心して性行為を楽しむための手段だと私は思っています。 三並医院長:予防策はありますが、もし感染してしまったら治療することが最も効果的です。すべての人が安全な状態で性行為を行うのが理想です。ウイルスは粘膜に付着して感染するので、性行為中の注意や、性行為の前後に手洗いやうがいをすることも有効です。 ――ただ、一般の人が検査を受けづらい環境にあるのが問題ですね。どうすればもっと多くの人が検査を受けるようになるでしょうか? 吉岡:例えば「清潔感」や「美」、「健康」といった、自己肯定感を高める要素にフィットさせるのが効果的かもしれません。ただ、それが正解かどうかは分かりません。昔は当たり前でなかったことが、今では当たり前になっていることを調べてみる価値はあると思います。 ――具体的にはどのようなものがありますか? 吉岡:例えば、清潔感を高めて異性にモテるとか、自分の健康を守るための選択肢として検査を受けることが考えられます。より自分らしく生きるための手段として提案するのも一つのアプローチかもしれません。 ――昔は体臭や制汗の商品がそこまで一般的ではなかったけれど、今ではデオドラント商品が薬局の主力商品になっているのと同じような展開ですか? 吉岡:そうですね。