認知症のリスクを45%減らす、14の危険因子とは
遺伝的に認知症になりやすい人のリスクも減らす
これらの危険因子を回避するためには、何をすればよいのでしょうか。研究者たちは、個人と、公衆衛生や福祉を担当する政策立案者に対して、以下のような具体的な行動を促しています。 ・すべての人が質の高い教育を受けられるようにする。中年期以降は、認知機能を維持するために脳を刺激する活動を実施する ・聴覚障害のある人の補聴器の利用を容易にする。有害な騒音にさらされる機会を減らして聴覚障害リスクを減らす ・うつ病患者には有効な治療を実施する ・コンタクトスポーツを行う時や自転車に乗る時にはヘルメットや頭部保護具を使用する ・運動を実施する ・禁煙教育と、タバコの価格のコントロール、および公共の場での喫煙禁止などを実施し、禁煙を促す。さらに禁煙のためのアドバイスの利用を容易にする ・高血圧の予防と治療を促す。40歳以降は、収縮期血圧(最高血圧)を130 mmHg以下に維持する ・中年期に高LDLコレステロールを診断、治療する ・健康的な体重を維持する。肥満者には治療を促す。これにより糖尿病も予防できる ・アルコール飲料の価格をコントロールし、過度の飲酒となるレベルの周知と飲酒のリスクに関する意識の向上を図り、過剰摂取を減らす ・高齢者に優しく支援的なコミュニティの形成と、暮らしやすい住居の提供を優先する。活動への参加や他者との共同生活を促して、社会的孤立を減らす ・すべての人に視力検査と視力低下に対する治療の機会を提供する ・大気汚染にさらされる機会を減らす これらの修正は、遺伝的に認知症になりやすい人にも発症リスクの低下をもたらすことが分かっています。研究者たちは、「危険因子に対する修正の開始は早ければ早いほどよく、生涯を通じてリスクを低く保つことを目指すべきだ」としています。 *1 Livingston G, et al. Lancet. 2024 Aug 10;404(10452):572-628.