次世代電池「APB」 メインバンク側が更生法申し立てを取り下げ
世界初の「全樹脂電池」の開発を手がけるAPB(福井県越前市)をめぐり、メインバンクの北国銀行グループの投資会社が、東京地裁への会社更生法の適用の申し立てを21日に取り下げていたことがわかった。 北国銀行グループのQRインベストメントは、更生手続き開始後の運転資金を融資する「DIPファイナンス」と呼ばれる手法を活用し、更生手続きを進めながらAPBの事業継続を検討していた。会社更生法は適用されれば経営陣は退任することとなるため、北国銀行側はメインバンクとして創業者を中心とする新たな経営体制のもとでの再建を模索していた。東京地裁は北国銀行側の融資の実現性などを調査した上で、更生手続きの開始決定の成否を判断する予定だった。しかし、APBに対して総額約46億円の支援を決定していたNEDO=新エネルギー・産業技術総合開発機構が、19日までに支援の継続を停止したことなどにより、北国銀行側が当初想定していた運転資金の確保に影響が出た。 APBが開発を手掛ける「全樹脂電池」は、従来のリチウムイオン電池に比べて発火の危険が少ないとされ、次世代のEV=電気自動車への搭載が期待されている。しかし、研究開発費がかさんだことなどで資金繰りが悪化し、事業の継続が危ぶまれている。国の支援も途絶えた中で、関係者間では引き続き新たな出資先探しや再建スキーム作りなどの協議が進んでいるとみられるが、見通しは不透明な状況となっている。