仕事に意思は関係ない-先延ばし・先送りの画期的な解決方法「30分仕事術」とは?(滝川徹 時短コンサルタント)
『細分化して片付ける30分仕事術(滝川徹 著)』
仕事に取り組もうとするとき、つい先延ばし・先送りしてしまう。そんなとき、多くの人が「自分はなんて意思が弱いんだ」と自分を責めがちです。しかし実は、意思の力はあまり関係ありません。 「人間の脳には2つの脳(性質)があり、そのうちのひとつをダマすのが先延ばし・先送りの解決の鍵」。そう語るのは時短コンサルタントの滝川徹氏。 今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、先延ばし・先送り発生のメカニズムと解決法の解説を、再構成してお届けします。
■やらなくてもいいが、それ以外は何もしてはいけない
新人の頃、頭ではやらなければいけないとイヤというほどわかっていたのにどうしても取りかかれない仕事があった。毎朝「今日こそはやるぞ!」と決意する。しかしいざ仕事がはじまると、ほかの仕事を理由に「あとでやろう(そう、あのお決まりのセリフだ)」と先延ばしをしてしまう。 そうして1日の最後になり「明日こそは絶対にやるぞ!」とまた固く決意する。翌日になるとまた同じことを繰り返す。そのヘビーローテーション。その後その仕事がどうなったかって? あぁ、もちろん大炎上だ。 なぜ自分はこんなにも意志が弱いのだろうか……。昔はそう自分を責めた。しかしどうやら意志の力はあまり関係なかったようだ。これは単なる言いわけじゃない。タスク管理の名著『仕事に追われない仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者マーク・フォースターがこのことを教えてくれた。 マークによれば、人間の脳には2つの脳(性質)があるという。そのうちのひとつの脳をダマすこと。これが先延ばし・先送りを解決する鍵だと言うのだ。2つの脳? 脳をダマす? きっと今の君の頭には大きな「?」が浮かんでいることだろう。だが、大丈夫。どういうことかはイギリスの著名作家の仕事術を紹介しながら、めちゃめちゃわかりやすく説明しよう。 Netflix(ネットフリックス)でドラマ化された『サンドマン』をはじめ、数々の作品で知られる作家ニール・ゲイマン。著名な作家とはいえ、彼にとっても執筆することは簡単なことではなかったらしい。そんな彼の執筆時の最大のルールは「文章を書かなくてもいいが、書くこと以外何もしてはいけない」というものだった。 イスに座って、何もしなくてもいい。ぼーっと景色を楽しむのも自由。ただしクロスワードをしたり、本を読んだりしてはダメ。友達に電話するのももちろんNG。書くこと以外、何もしてはならなかった。 そうしてイスに座り景色を楽しんでいても、5分も経つと何もしないことに飽きてくる。何もしないよりは文章を書くほうがまだおもしろい。ニールはやがて、文章を書きはじめるのだった。 ニールのこの手法は秀逸で、実に理にかなっている。その理由についてマークの言う2つの脳の仕組みを紹介しながら解説しよう。