名古屋が3大会ぶり奪還 土壇場で2度追いつかれるも…雨中のPK戦決着!/ルヴァン杯
ルヴァン杯決勝(2日、名古屋3-3新潟 PK5-4、国立)名古屋が延長の末に3-3で終え、PK戦を5-4で制して3大会ぶり2度目の優勝を果たした。雨が降りしきる中、大会史上最多の6万2517人が来場。2度のリードを追いつかれたが、PK戦では5人全員が成功し、王座を奪還した。最優秀選手(MVP)には、今季限りで退団する元オーストラリア代表GKミッチェル・ランゲラック(36)が選ばれた。優勝賞金は1億5000万円。新潟はクラブ初のタイトル獲得を逃した。 互いに死力を尽くした末、名古屋が3年ぶり2度目の頂点に立った。今季限りで退団するGKランゲラックは、「勝ったら2人で掲げるぞ」との約束通り、MF稲垣と優勝トロフィーを高々と掲げて喜びを爆発させた。 「優勝することで最高の終わり方をすることができると思っていた。本当にうれしく思う。いい完結の仕方ができた」 延長線でも決着がつかず、PK戦へ。守るだけでなく2人目のキッカーも務め、「緊張することなく蹴ることができた」とゴール左へ決めた。攻守にわたる活躍で、最優秀選手にも選ばれた。 ミッチに花道を-。チームの合言葉だった。長年名古屋を支え続けてきた36歳の守護神が、母国オーストラリアで家族と暮らすため退団を決断。大黒柱の有終の美へ、イレブンは一つになった。 2018年に加入し、翌年に楢崎正剛から背番号「1」を継承。21年はJリーグ記録の823分連続無失点を達成し、同年のルヴァン杯を初制覇した。193センチの長身と判断力を武器に、ドルトムント(ドイツ)時代にはMF香川真司(現C大阪)とリーグ制覇を経験した実力者。今季は主将となり、サポーターからも愛された存在だった。 チームは選手やスタッフ、サポーターらを「グランパスファミリー」と呼ぶ。休日には選手やスタッフ同士で愛知名物の鰻に舌鼓を打ったり、大相撲名古屋場所の観戦に出かけて絆を強めた。前主将の稲垣は「来年に行こうと思っている」と、早速オーストラリア旅行を計画している。 「チームを離れても第一のファンとして見守っていきたい」と〝名古屋愛〟を口にする守護神に最高のプレゼント。家族を思う力が最高の形で結実した。(西垣戸理大)