ウクライナが米製長距離弾ATACMSでロ本土を攻撃 侵攻から1000日、新たな緊張
ウクライナは19日、米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」を使用し、ロシア西部ブリャンスク州の兵器庫を攻撃した。ウクライナの公式筋が確認した。19日はロシアのウクライナ侵攻開始から1000日目に当たり、新たな緊張が高まっている。 ロシアはこれに先立ち、ウクライナが初めて米国製のATACMSを使用したとし、ブリャンスク州の軍事施設に対し6発の攻撃があったと発表していた。ロシア軍は5発を撃墜し、 うち1発の破片が施設に落下したものの、死傷者は出ていないという。 ウクライナ側は、ロシア国内にある兵器庫を攻撃し、二次的な爆発を引き起こしたと発表した。 米当局者は匿名を条件に、ウクライナが発射したミサイル8発のうち、ロシアは2発を迎撃したと指摘。攻撃は弾薬補給拠点を標的にしたものだったと述べた。 ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することをバイデン政権が許可したという報道を受け、ロシアは米国が紛争に直接関与することになると警告し、緊張が高まっている。 ウクライナのゼレンスキー大統領は議会での演説で、戦争の「決定的な瞬間」は来年訪れるだろうとし、「戦争のこの段階で、誰が勝利するかが決定されるだろう。われわれが敵に勝つのか、敵がウクライナ人やヨーロッパ人に勝つのか」と述べた。 19日夜にはろうそくを灯し、追悼式が行われた。 ATACMSの射程距離は最大300キロ。軍事専門家は、ATACMSはウクライナがこれまでに制圧したロシア領を防衛するために役立つ可能性があると指摘。ただ、米国による使用許可が遅すぎたため、戦争の行方に決定的な影響が及ぶ公算は小さいとの見方を示している。 ロシアのプーチン大統領は19日、核兵器使用に関するドクトリン(核抑止力の国家政策指針)の改定を承認した。核保有国の支援を受けたロシアへの通常兵器攻撃に対し、核兵器の使用を検討する可能性があると警告した。 ロシアのラブロフ外相は19日、 ウクライナによる米製兵器を使用したロシア領への攻撃は、西側諸国がウクライナでの紛争を「エスカレートさせようとしている明確なシグナル」と批判した。